「香坂さん、シーズンオフは1日も休まず練習するから、マスコミからの要請は全部断って下さい」
これは巨人時代の松井秀喜が、プロ3年目の最終戦終了直後に、広報担当の香坂英典氏に放った言葉である。
野球解説者・岡崎郁氏のYouTubeチャンネル〈アスリートアカデミア【岡崎郁公式チャンネル】に登場した香坂氏が、11月21日の動画で、その時の心境を明かしている。
「21歳の若者が、ハッキリ広報に向って言った行為、驚いたね。固い決意とか、意志とかがあるわけですよ。3年経ったって、まだまだその先を見てるなと思った」
プロ3年目の1995年は22本塁打、80打点、打率2割8分3厘だったゴジラは、翌1996年には38本塁打、99打点、打率3割1分4厘と飛躍した。
事実、ニューヨーク・ヤンキース時代の2007年、「週刊新潮」のインタビューでは、自身のターニングポイントのひととして、この1995年のオフを挙げている。
〈それまでの僕は、内角に弱点があり、ここを突かれて打ち取られることが多かった。膝元もそうですが、身体に近いコースを徹底的に攻められて、それでやられることが多かったのです。(中略)バットスイングを繰り返しました。どうすればその欠点が克服できるのか、考えながら、ひたすらバットを振ったものです。徐々に自信がついた僕は、96年シーズンから成績が爆発しました〉
1996年から巨人を退団する2002年まで、7年連続でシーズン30本塁打を記録。1998年、2000年、2002年には本塁打王、打点王の二冠に3度、輝いている。
まさに爆発前夜の決意表明だったのだ。
(所ひで/ユーチューブライター)