田中将大の楽天イーグルス退団に「緊急声明」だ。それは野球解説者の大久保博元氏が出したもので、野球協約の制限を超える減額提示にサインせず、自由契約になることを選択した田中をめぐり、球団を責め立てたのである。
「批判覚悟」とのタイトルで配信したYouTube動画で大久保氏はまず、
「大事件です」
と切り出すと、自らの見解を話し始めた。朝起きて田中の退団を知ったという大久保氏は、球団の功労者である田中が退団に追い込まれたことにかなりおかんむり。今季年俸2億6000万円から40%の減額制限を大幅に超える5000万円が提示されたとの報道があるが、
「もうお金じゃないんです」
とまくし立てたのである。ヒートアップした大久保氏が非難の矛先を向けたのは、石井一久GMだった。
「自分の責任、どこで取りましたか。自分は成績悪くても残るの? 平石(洋介元監督)はクビになるの? そうなると球団職員のやる気が一気になくなる。『将大いなくなって、なんであなたがいるの』って」
口角沫を飛ばして憤る大久保氏だったが、必ずしも賛同者ばかりではなかった。
田中は楽天に復帰してから、4年間で20勝33敗という成績だ。功労者に冷たいと主張する大久保氏に対し、プロ野球ファンが異議を唱えたのである。いわく、
「1勝1億円以上。むしろ手厚すぎる」
「4年間で20勝の投手に25億円出してる時点で十分ではないか」
「条件を提示するだけ誠意を見せている。功労者でなければクビ」
そもそも2021年に楽天に復帰した時点で、田中の全盛期は過ぎていた。2022年に9勝したが、これがピーク。今季にいたっては、登板1試合で投球回数わずか5回だ。明らかな「給料泥棒」の様相だったのである。
プロは実力の世界。過去にどれだけチームに貢献しようと、現状で力を発揮できなければ、大幅減俸はやむなし。むしろクビにならなかっただけでも十分に温情をかけられている…というのが、ファンの共通認識だ。
デーブ氏が楽天の指導者だった当時の田中は、2013年に無傷の24連勝で球団史上初の日本一に貢献するなど、大功労者だったのは間違いない。だがそれは、10年以上も前のこと。現在の苦境にあえぐチーム事情を考えれば、球団はいつまでも田中を高給で抱えている余裕はなかろう。
「批判覚悟」で持論を展開した大久保氏だったが、ここまでファンの反感を買うことを予測していたのか…。
(ケン高田)