プロ野球は各チームが来季の優勝を目指し、戦力の補充や組閣を続々と発表している。特に下位に沈んだチームは首脳陣の責任が問われるため、中日や楽天のように監督が入れ替わったチームがある。
今季優勝まであと一歩と迫りながら9月に「世紀の急失速」という醜態を晒して4位に終わった広島の来季コーチングスタッフに「まさか」の声が。なにしろ「コーチ全員留任」なのである。
就任3年目となる新井貴浩監督を筆頭に、藤井彰人ヘッドコーチ、朝山東洋打撃コーチ、小窪哲也打撃コーチなど、見事なほど顔ぶれに変化はなく、唯一、今季限りで現役引退した野村祐輔氏が3軍コーチ兼アナリストとして加わるのみだ。
案の定、ファンの反応は皮肉交じりの厳しいものだった。
「すごいな。誰ひとりとして結果に対しての責任を取ってない」
「浅山コーチ残留は笑うしかない。貧打のA級戦犯だろ」
「球団も編成の責任のようなこといってる割には何も変えてないってなぁ…」
ごく普通のファン目線での感想ではなかろうか。
いや、ファンのみならず、プロも苦言をブチかましているのだ。現役時代に近鉄、広島で活躍し、広島の1軍打撃コーチ経験がある野球解説者・新井宏昌氏の指摘はこうだ。
「広島は左打者にいい選手が多いのに、1軍に左打者の特性や特徴を理解して的確に指導してあげられるコーチがいない」
確かに朝山、小窪両コーチは右打者で、さらには新井監督も右だ。広島は今季チーム打率が2割3分8厘で、セ・リーグ最下位という体たらく。一方で左には坂倉将吾や小園海斗、秋山翔吾など好打者が多く、「プレミア12」での坂倉、小園の活躍を見れば、コーチ次第でさらなる成績アップが期待できよう。
実はこの話題は、広島OB・高橋慶彦氏のYouTubeチャンネルでも取り上げられている。高橋氏は「基本的には右左一緒」としながらも、
「その基本からどんどん変わっていくんで、どうなのかな」
と疑問を呈しているのだ。
松田元オーナと折り合いが悪く、いまだ広島の組閣に名を連ねたことのない高橋氏。代わり映えのしないコーチ陣に辟易しているファンとしては、スイッチヒッターの高橋氏こそ、ぜひコーチをお願いしたい筆頭者ではないだろうか。
(ケン高田)