若者のビール離れと言われ続けて数年、部下を飲みに連れて行っても、一杯目からチューハイ。オヤジ世代としては、「おいおい、そこはとりあえずビールだろう」とついつい苦虫を噛み潰すところだろう。最近の若者は、一杯目だからこそ味わえるあの至福の喉ごしを知らないのだろうか!?
と言いつつも、他のテーブルを見渡してみると、やはり若者たちの手にはチューハイが‥‥。
昨年キリンビールが604名を対象に「普段一杯目から飲むお酒」というアンケート調査を行ったところ、チューハイと答えた人は31.3%。56.6%のビール類に続いて2位に入っている。しかも別の調査で8割以上の人は、この1年以内にチューハイを一杯目に飲んだことがあるというのだ。
たしかに、フルーツ味で口当たりのいいチューハイは人気のドリンクメニュー。とはいえ、揚げ物や刺身、乾きものをつまみながらチューハイを飲む姿は、オヤジ世代にはどうにもピンとこない。それとも若者は酒の好みだけでなく、味覚そのものが変わってきているのだろうか?
そんな疑問を解決するために、味覚分析を手掛けるベンチャー企業のAISSYが、チューハイとビールの味を分析。これをおつまみの味覚分析結果と比較することで、それぞれの相性度が測れるという。同社にはテレビでもおなじみの味博士も所属しており、これまでにも日本酒とおつまみの相性度を算出したことなどがある。
そのAISSY社の味覚分析では、5つの基本味(甘味、塩味、酸味、苦味、旨味)を定量的に数値データ化。さらに味覚の変化(先味と後味)も数値化することで、キレやまろやかさもわかるのだという。
今回は分析の対象に、代表的なおつまみである「鳥の唐揚げ」をチョイス。チューハイは、昨年「とりあえずチューハイ!」のCMが話題となった『キリンチューハイビターズ』のほろにがグレープフルーツ味(以下グレープフルーツ味)、ほろにがレモンライム味(以下レモンライム味)、スパイシージンジャー味を、ビールは大手ビールメーカー4社の缶ビールの平均値の4種類を用意した。
その結果、最も相性が良かったのはグレープフルーツ味×唐揚げで、相性度はなんと98.7ポイント! さらにスパイシージンジャー味(96.0ポイント)とレモンライム味(95.3ポイント)が続き、ビール×唐揚げの相性度84.6ポイントを上回ったのだ。つまりフルーツの種類に関係なく、チューハイのほうがビールよりも唐揚げとの相性が良いという衝撃の結果が出たのだ。
ちなみにAISSY社の分析によると、グレーフルーツ味の酸味と唐揚げの旨味の強さがほぼ同じレベルなので、グレープフルーツの酸味が唐揚げの後味をスッキリさせてくれるのだとか。そして味全体の強さも近いレベルのため、双方が主張しすぎず、これが抜群の相性を生む理由となっているというわけだ。
こんな結果を知ってしまうと、さっそくチューハイ×唐揚げの組み合わせを試してみたくなるのでは? さっそく今夜、居酒屋に足を運んで「とりあえずチューハイ!」と頼んでみてはいかがだろうか。