先の衆院選挙で大惨敗し、少数与党に転落した自民党にとって、国民民主党は無視できない存在になっただけに、「減税待ったなし」の風潮が高まるにつれ、国の台所を預かる財務省が黙っていなかった。
日本経済新聞は10月30日付の記事で、
〈国民民主「年収の壁」対策、実現時7.6兆円減収 政府試算〉
との見出しで国民民主党の政策を批判。他の大手マスコミも減税分の財源を示さない国民民主党に懐疑的な記事を発信している。
翌31日に玉木氏は自身のXで、こうした記事についてつぶやいた。
〈財務省がマスコミを含めて「ご説明」に回っている効果はさすがです。今朝の朝刊は各紙こぞって「7.6兆円の減収」「高所得者ほど恩恵」とネガキャン一色〉
早速〝玉木潰し〟のゴングが鳴ったのだ。これには自民党の青山繁晴参院議員もこう指摘する。
「いわゆる『103万円の壁』は、必ず見直さないといけないと考えています。財務省はなるべく見直し幅を最小限にしたいので、国と地方の合計で7兆6000億円の税収減になると試算しています。こうした試算は、やり方次第で大きく変わります。鵜呑みにするのは間違いの元です。しかし石破内閣や自民党はそれを前提に難色を示していて、それだけで財務省の作戦は十分に効果を上げました」
そもそも減税憎しの財務省は、普段からマスコミに〝洗脳〟工作を仕掛けていた。霞が関関係者が声を潜めて明かす。
「省内用語で『ご進講』と呼ばれるもので、マスコミ各社に直接レクチャーに訪れます。最低2人で説明しながら、雑談の時に『今度飲みましょう』と誘ってくる。仲よくなって打ち解けると、『次はこういう論調で、ご協力いただけませんか』と、増税プロパガンダのすり合わせをするうちに財務省の言いなりになってしまう。論理がしっかりしているので、マスコミは手のひらで踊らされてしまうんです」
大手マスコミが財務省に反旗を翻せば、痛いしっぺ返しが待っている。
「大手新聞社は財務省の言いなり。新聞各紙の消費税率は8%と優遇されているうえ、少しでも財務省に批判的な記事を掲載したら、外局の国税庁に働きかけて『税務調査』という嫌がらせを行うともっぱら。テレビ局も同様で、財務省の息がかかったコメンテーターや識者が、『103万円の壁よりも社会保険の壁の見直しを』『財源を示してほしい』などと論点ずらしに躍起になっています」(霞が関関係者)
飴よりも鞭が強すぎて、すっかり服従状態だった。