JR貨物の「EF81形電気機関車 303号機」(写真)が復帰することが報じられ、撮り鉄が歓喜の声を上げている。
303号機は9月にトラックと衝突し、運行を取りやめていた。製造されたのが1974年と古く、このまま引退するのではないかとみられていた。しかし、修理の目処が立ったことから、復帰させることになったのだ。
貨物列車の先頭に立って力走する姿を再び見られるのは嬉しいが、同時に懸念もある。303号機をカメラに収めようと撮り鉄が集結し、事件を起こす可能性があるからだ。これまでに何度も撮り鉄の暴挙が報じられているだけに、鉄道ライターは顔を曇らせてこう話す。
「303号機は関門トンネルを通るために作られた車両で、塩害を防ぐために車体がステンレスで覆われています。その見た目から『銀釜』と呼ばれる、人気の電気機関車です。同様のステンレス車両は303号機も含めてわずか4両しか製造されず、残っているのは303号機だけ。それが復活となれば、撮り鉄が集結するのは明らかです。復活しても今後、長期にわたって走るとは考えにくく、近いうちに引退する可能性がある。今のうちに撮っておこう、と考える撮り鉄は多いでしょうね」
事件が起きる要素はまだある。鉄道ライターが続ける。
「貨物列車は旅客列車が走っていない夜間に走ることが多く、昼間を走る区間は限られています。太陽光がないと撮影できませんから、そこに撮り鉄が集中するでしょう」
ルールを守って貴重な303号機を撮影することが、撮り鉄には求められるのだ。
(海野久泰)