楽天・田中将大の去就が取り沙汰される中、日本ハムや巨人など計4球団でプレーし、現在はNHKの野球解説者の武田一浩氏が、独自の見解を明かした。それが、
「マー君は10勝10敗でいいから」
というものだ。
武田氏は「Number Web」が配信した記事の中で、楽天の姿勢に疑問を投げかけた。
「マー君は球界のレジェンドでもあるし、手術して1年目でそこまで厳しく評価しちゃうのはどうなんだろう」
その上で、一定の評価を与えたのである。
「ボールも悪くないし、150イニングはまだ投げられると思う。俺が球団の編成だったら、10勝10敗でもいいから獲るね」
確かに2021年に古巣に戻ってからここまで、二桁勝利は一度もない。武田氏の「10勝10敗でもいい」という発言に苦笑いしたファンは少なくなかったのではないか。
ここで一部のファンは2006年当時、横浜に所属していた門倉健を思い出したようで、
「10勝10敗する門倉ならともかく、シーズンで1試合しか投げない門倉なんだよな、いるか?」
と…。ここで当時の門倉を振り返ってみたい。
この年の門倉は不調のため、一時は中継ぎ調整する期間があったが、前年に続いて規定投球回数に到達して10勝を挙げ、2年連続2桁勝利を記録。一方で9敗を喫したことから、オフの契約更改は大紛糾となった。
複数年契約と年俸の微増を主張した門倉に対し、球団は「10勝しても10敗する投手はいらない。誰か代わりに1人、新しく獲ればいい」との姿勢で、バッサリ斬り捨てたのだ。
結局、門倉は横浜と交渉決裂後、巨人の原辰徳監督から「門倉君、ぜひ我が軍の力になってくれ!」と電話で直接ラブコールを受け、巨人に移籍している。
当時の門倉は33歳で、横浜が早々と見切りをつけたのもわからなくはないが、田中はすでに36歳だ。現在の肩の調子を考えると、武田氏が掲げる10勝10敗どころか、シーズンを通して投げ続けることすら難しく思えてくる。
田中自身が10勝できると思っているかどうかはわからないが、とはいえ、武田氏と同じような考え方の球団フロントがどこかにいないものか…と考えてしまうのだ。
(ケン高田)