かつて大関候補の一番手とされた元関脇・若隆景。再入幕から3場所連続で2桁勝利したことで、初場所(1月12日初日)は三役復帰が濃厚である。
「またしっかりと気持ちを作ってやっていきたい。まだまだ成長できる」
本人はそう言って、手ごたえをつかんでいる様子だ。幕内上位陣との申し合いを見た八角理事長は、
「小さくても真っすぐにいっている。そういうところに好感が持てる。小さくてもおっつけながら押されない相撲を取っている。前よりレベルアップしている」
なにやら満足げなのである。
上位陣を見渡せば、豊昇龍戦はこれまで若隆景の4勝9敗と負け越しているが、若元春戦の3勝15敗とは様相を異にする。相撲ライターが解説する。
「先場所、負けはしましたが、低い立ち合いから攻め込んでいました。最後、豊昇龍が捨て身の小手投げで制しています。この相撲を見る限り、対戦成績ほど苦手にしているとは思えませんでした。3年前の秋場所では豊昇龍が一本背負いで破っていますが、土俵際まで攻め込まれて、これまた捨て身のワザを繰り出した。兄との一番とはだいぶ違います」
結局、小兵の若隆景が豊昇龍に大きな相撲を取られて、敗北を喫している。八角理事長はそうした相撲の流れを見て、前よりレベルアップしていると評価しているのだ。先の相撲ライターは力強く言った。
「若隆景が二桁勝つのは間違いないと思いますよ。場合によっては、優勝すらあると思いますね」
(蓮見茂)