大相撲九州場所で10勝5敗とまずまずの成績を挙げた尊富士は、年明けの春場所に向けて、
「そんなに満足していない。勝ち越しても10勝しても変わらないです。早く三役に上がりたい」
と語っている。相撲ライターが言う。
「尊富士が春場所で110年ぶりの新入幕優勝を飾った際、千秋楽はケガ悪化を覚悟の上で豪ノ山戦に強行出場しています。その後の尊富士を見る限り、師匠の伊勢ケ浜親方から入門当時によく言われていた『1日1000回のてっぽう』を実行に移していますね」
てっぽうは四股やすり足とともに重要な基礎運動で、
「3つとも大事だが、どれかを重点的にやれば、相撲勘を養える」
と尊富士は語る。相撲ライターが続ける。
「初場所は幕内9、10枚目といったところでしょう。三役、大関、横綱と当たるのは終盤です。好調なら大の里、琴桜、豊昇龍といった面々といきなり対戦することも考えられる」
豊昇龍と対戦したのは、優勝した春場所だった。立ち合ってすぐに左上手を取られそうになるが、それを阻止。差された右腕を抱えられて左に回転しながら、小手に振られる。すると尊富士の体は宙に浮き、土俵下へ落ちていったのだ。
尊富士、豊昇龍、大の里の3人は同学年の24歳。
「お互い、ライバル意識はすごいですよ。尊富士には110年ぶりの記録、大の里には初土俵から所要9場所で大関昇進を果たした記録がある。そして豊昇龍には、無敵のモンゴル人横綱(朝青龍)の甥っ子という自負がある」(前出・相撲ライター)
いずれもすごいが、尊富士が同じ相手に続けて不覚を取るとは考えにくい。つまり豊昇龍、大の里を立て続けに撃破することも考えられるのだ。
(蓮見茂)