スポーツ

掛布雅之 この「飛距離NO1若虎」が凄い

20150305v

 皆さんに、今のうちに名前を覚えておいてほしい若虎がいます。19歳の横田慎太郎です。鹿児島実業から13年ドラフト2位で入団したプロ2年目。身長186センチで左打ちの大型外野手です。

 まだまだ打撃は粗削りですが、飛距離はチームでもトップクラスで、足も速く、肩の強さもあります。タイプ的にはオリックス・糸井ですが、もっといい意味で泥臭い感じ。決してスマートではありませんが、武骨で野性味にあふれていて、昔の野球選手の匂いがします。彼なら将来的にはトリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)も夢ではありません。順調に育てば、近い将来、チームを背負って立てる存在だと見込んでいます。

 私は現在、一軍の沖縄・宜野座キャンプでの指導を終え、11日の第3クールから高知・安芸での二軍キャンプに帯同中です。グラウンドでの練習だけでなく、チーム宿舎に帰っても、横田をマンツーマンで鍛えています。膝、腰、肩を地面と平行に回すレベルスイングを身につけさせるため、素振り、スポンジボール打ちの反復練習をひたすら繰り返しています。性格的にも純粋で、天然な面のあるナイスガイです。何とか、うまく一流へのレールに乗るよう手助けしたいと思っています。

 このまま順調に調整を続ければ、一軍のオープン戦でもチャンスをもらえるはずです。そこで結果を出せば一気にブレイクする可能性もありますが、まだ思うような結果を残せない確率のほうが高いでしょう。でも、それでいいのです。肝心なのは、数多くの失敗を財産とすることです。一軍でレギュラーを奪うためには、今の自分に何が足りないかを知ることが大切。本当の勝負はそこから始まるのです。

 中には「なぜ特定の選手を熱心に教えるのか」と思う人もいるでしょう。でも、プロ野球というのは不公平な世界です。今も昔も、コーチが全選手を完全に平等に扱うなんてことは、ありえません。アマチュアの世界ではないのです。選手は、こちらに「心血を注ぎたい」と思わせる空気、存在感、メッセージを発しないといけません。二軍でいちばんそう感じさせてくれるのが、今は横田ということなのです。

 不平不満の感情はグラウンドにぶつければいいのです。高卒4年目の一二三慎太も、悔しい思いをしている選手です。同期で仲のいい中谷は宜野座で奮闘中です。ルーキーで一軍キャンプに参加している江越も同学年で、二軍に取り残された一二三には相当な危機感があるはずです。昨季までとは目の色が違います。成長するうえで、この気持ちが何より大事です。仲よしクラブではチームは強くなりません。二軍の段階から、人を蹴落としてでもというハングリーな気持ちで、競争を勝ち抜かないといけないのです。今春のキャンプは一軍に多くの若手が抜擢されました。「オレも負けられない」と、二軍の選手にも好影響を与えています。関本や藤井の安芸スタートのベテラン組も同じような気持ちでしょう。

 和田監督にとって難しいのはこれから。実戦の中で選手たちに優劣をつけていく必要があるからです。誰もが納得いく形などありません。不満のパワーが、うまく、グラウンドでの結果につながるような形に持っていきたいものです。

◆プロフィール 掛布雅之(かけふ・まさゆき) 55年生まれ。73年に阪神入団、88年に引退。13年10月、阪神GM付育成&打撃コーディネーター(DC)に就任。著書に「新・ミスタータイガースの作り方」(徳間書店)、「若虎よ! 」(角川書店)など。

カテゴリー: スポーツ   タグ: , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
上原浩治の言う通りだった!「佐々木朗希メジャーではダメ」な大荒れ投球と降板後の態度
2
フジテレビ第三者委員会の「ヒアリングを拒否」した「中居正広と懇意のタレントU氏」の素性
3
3連覇どころかまさかのJ2転落が!ヴィッセル神戸の「目玉補強失敗」悲しい舞台裏
4
ミャンマー震源から1000キロのバンコクで「高層ビル倒壊」どのタワマンが崩れるかは運次第という「長周期地震動」
5
巨人「甲斐拓也にあって大城卓三にないもの」高木豊がズバリ指摘した「投手へのリアクション」