阪神の青柳晃洋をめぐり、早くも「第二の上沢問題」勃発を懸念する声が漏れ始めている。青柳は現在、ポスティングシステムを使ってのメジャーリーグ入りを目指しているが、年内決着は難しい状況になっている。
青柳本人も12月23日に大阪市内で行われたイベントで、越年決着も辞さない構えを見せている。在阪スポーツ紙遊軍記者は、今後について次のように話すのだ。
「今の青柳は、メジャーに行きたい一心。とにかく待てるだけ待つ覚悟を固めている。場合によってはマイナー契約でも海を渡るつもりでいます」
今季、2億円を超える年俸をもらっているが、マイナー契約となれば極端な話、十分の一程度まで落ち込む可能性がある。それでも意志を貫く覚悟だというのだ。遊軍記者が続けて、青柳の心の内を推察する。
「藤川球児監督の『ベテランであっても、力のない者は使わない』との発言が根底にあるようです。青柳にも意地がありますからね。メジャーで活躍して藤川監督の鼻を明かしやりたいと…。藤川監督自身、メジャー挑戦失敗組ですからね」
青柳にしてみれば、仮に挑戦に失敗したとしても、日本球界復帰がさほど難しくない環境が整っている。そしてそこには、4年10億円という破格の条件でアメリカから出戻り、ソフトバンク入りした上沢直之の存在がある。
上沢は通算70勝の成績を手土産に、ポスティングを利用してマイナー契約を結び、米球界に挑戦。レッドソックスでメジャー昇格を果たしたが、わずか2試合の登板でマイナー落ち。1年でそそくさと日本球界に帰還したのだが、それが球界に波紋を広げることになる。スポーツ紙プロ野球担当デスクがその現状を説明する。
「球界内では侃々諤々です。ルール上は問題ないわけですが、快くアメリカに送り出してくれた古巣からのカムバックコールをソデにしましたからね。FAまで期間がある選手にとって、ポスティングで海外移籍し、FAとなって1年で古巣以外に国内復帰できるのは、いわゆる『抜け道』になりかねないので」
仮にメジャー挑戦が失敗しても、実績ある変則先発投手の需要は多い。となれば、憂いはないだろう。青柳にはもうひと花咲かせてほしいものだが、「第二の上沢」にはなってほしくない。
(阿部勝彦)