藤川球児監督率いる阪神の新人選手の入団会見が12月9日、大阪市内の高級ホテルで行われた。育成契約を含むルーキー9選手を前に、藤川監督は会見を見守る在阪メディアを見渡しながら挨拶した。
「他の11球団を含めても、日本でいちばん多く集まっている。その中で決意表明すると自分の中でひとつ、筋が通ったような生き方ができると思う。認知度も上がると生きづらくもなるけど…」
長年、人気選手として君臨した経験談をもとに、独特なアドバイスを送ったのである。球団OBはこれに頷きながら言う。
「ちょっと活躍したら猫も杓子もヨイショしまくるのは阪神球団、在阪メディアの伝統的な悪い癖。それも含めて『タイガースなんだ』ということを、藤川監督は新人に意識させたかったのではないか」
指揮官でも制御できないほど厄介なのは、若手が軒並みYouTube動画に頼ったり、メジャーリーグで流行った指標などを気にしまくることだろう。藤川監督はデータを最重要視する現状について、
「日米では野球の質が違う。結果が出なくなる」
と警告している。先のOBも懸念を表明する。
「具体例を示しづらい『感性』を置き去りにする者があとを絶たず『データに忠実』の考えがはびこっている。藤川監督もメジャー経験者だけに、怖さを感じているのではないか」
藤川監督が戦う相手は、グラウンドの外にもいるのである。