レッドソックス傘下3AウースターをFAとなった上沢直之の日本球界への「出戻り」が、いよいよ現実味を帯びてきた。
上沢は元日本ハム・斎藤佑樹氏のYouTubeチャンネル「斎藤佑樹 野球場プロジェクト」に出演した際、メジャー挑戦について「想像よりはるかにつらかった」と本音を吐露。そして「現状は日本の方に気持ちは傾いているかなと思います」と語っている。
今年1月11日にタンパベイ・レイズとマイナー契約を締結した上沢は開幕メジャー入りを目指したが、オプトアウト(契約破棄条項)を行使して、レッドソックスに金銭トレードで移籍。なんとかメジャー昇格を果たしたものの、投球回数わずか4回0/3でマイナー降格、11月1日にFAとなった。
日本への帰還を口にする上沢の心境に呼応するかのように、12月11日になってソフトバンクが獲得調査を進めていることが明らかになった。既に4年10億円のオファーを出したとされる。古巣の日本ハムへの復帰を含め、今季15勝の菅野智之がメジャー挑戦する巨人も調査しているといわれている。
だがポスティングを利用してチームを出ていったにもかかわらず、通用しないとなるとアッサリ帰国して他チームへ移籍…という風潮をよしとしない空気がある。仮に上沢が来季、ソフトバンクのユニフォームを着ることになれば、紛糾するのは必至だ。
日本ハムでは2020年オフに有原航平が、1億5000万円という格安譲渡金でテキサス・レンジャーズに移籍。ところが右肩動脈瘤の手術の影響などもあり、2022年オフにFAとなると、ソフトバンクと3年12億円で契約した。ルール上の問題はないものの、海外移籍を挟んで日本の他球団へ移籍したことで、これが「有原式」と呼ばれ、物議を醸した。もし上沢も…となれば、まさに「有原式」の再現。日本ハムファンは素直に受け入れられないのではないか。
とんねるずの石橋貴明は12月8日、パーソナリティーを担当するラジオ番組「SPORTS BULL presents 石橋貴明のGATE7」(TBSラジオ)の放送内で上沢の話題になると、
「上沢は日本ハムに戻んなきゃダメだよね」
と繰り返した。これを聴いていたプロ野球ファンの多くは、この石橋の発言に共感したのではなかろうか。
「マイナー契約ならやめた方がいい」という新庄剛志監督のアドバイスを聞き入れず、球団への譲渡金わずか90万円ほどで夢を追った上沢。ケガもあり、帰国してからのリハビリには日本ハムの球団施設を活用していた。
これで他球団へ移籍したら、日本ハムのファンは「いい加減にしろ」と思わず口走ってしまうのではないか。
(ケン高田)