アメリカ大手ペットショップ「Petco」の非営利組織「Petco Love」が主催する動物保護キャンペーンにノミネートされ、全米を感動させた実話がある。同じ先天性障害を持って生まれた少女と猫の出会いだ。
アメリカに住むケイトリン・キューザックさんは妊娠中、医師からお腹の子供に先天的な疾患があると告げられたのは、妊娠20週の時である。
医師によれば、お腹の中にいる女の子は、唇と上顎に裂け目が生じる先天性疾患の口唇裂、あるいは口蓋裂ではないかというのだ。初めて聞く病名に大きなショックを受けたキューザック夫妻。だが現代の医学では治療法が確立されていることを知り、知識を身につけるにつれ、次第に気持ちは和らいでいった。
ケイトリンさんは2019年、女の子を無事出産。夫妻はアイビーちゃんと名付けた。そして18カ月間で数回にわたる修復手術を経て、アイビーちゃんの治療は無事に完了。夫妻にようやく笑顔が戻った。
そんなある日のこと。ケイトリンさんの友人が偶然、フィラデルフィアの保護動物施設のインスタグラムに掲載された、サージェントと名前が付いた猫の写真を見つけ、彼女にそれを見せた。ケイトリンさんの目はその写真に釘付けに。実はサージェントもアイビーちゃんと同様に口唇裂を患い、手術を受けていたのである。運命を感じた夫妻は、直ちに保護施設に連絡。なんとかサージェントを引き取りたいと願い出ると、保護施設側は「これも何かのご縁ですね」と快諾してくれたのである。
アイビーちゃんはもともと大の猫好きで、キューザック家には先住猫のほか、猫の人形やグッズが目白押し。サージェントが加わるとアイビーちゃんは大喜びですぐに仲良しになり、一緒におもちゃで遊んだり、寄り添って寝たりするようになった。現地メディアの取材に答えたケイトリンさんは、こう語っている。
「アイビーはまだ、自分に口の疾患があったことは理解できないでしょうが、いつかは自分が『違い』を持って生まれたことを知り、それを受け入れるでしょう。だからこそ同じ疾患を持って生まれたサージェントの存在は大きいし、ともに成長していってくれれば嬉しいですね」
この一件は動物保護キャンペーンにノミネートされ、夫妻は見事に賞金を獲得。賞金はサージェントが保護されていた「フィラデルフィア・アニマル・ウェルフェア・ソサイエティー」に寄付された。施設で暮らす動物たちの里親探しの一助になれば、としている。
(ジョン・ドゥ)