猫を取り上げるテレビ番組を見ていて、とても気になる情報があった。猫には、猫と仲がいい猫・悪い猫、人と仲がいい猫・悪い猫がいるという。つまり猫は①猫とも人とも仲がいい、②猫とは仲がいいが人とは仲が悪い、③人とは仲がいいが、猫とは仲が悪い、④人とも猫とも仲が悪い…の4パターンに分かれることになる。
筆者がこれまで飼った猫は4匹だ。年齢順に挙げると、すでに死んだジュテ、ガトー、クールボーイ、そうせき。4つの分類に当てはめると、ジュテとガトーは①、クールボーイとそうせきは②だが、そうせきは飼い主にだけは懐くという条件がつく。
なるほどと合点がいったが、猫を飼い始めてから考えるようになった自己流の分類法がある。
犬は人につくが、猫は家につくといわれる。ところが犬並みか、それ以上に人につく猫もいるので、家につく、人につくを猫に当てはめて考えてみた。家につくのは、外の世界が怖くて家から出たがらない猫。家につかないのは野良猫体質で、隙あらば脱走を試みるような猫だ。
4つに分けると、(A)人にも家にもつく、(B)人につくが家にはつかない、(C)家にはつくが人にはつかない、(D)人にも家にもつかない、となる。
これを我が家の4匹に当てはめてみる。
(A)は誰にでも懐いて、家がいちんばん安心できる場所であり、外には出ないガトー。(B)は誰にでもすぐに懐いて、外に出て散歩し、トイレを済ませてから大きな声で「ニャーニャー(ただいま)と鳴きながら玄関から入ってきたジュテ。人にも家にもこだわらない、いわばボヘミアン猫だ。(C)は飼い主以外には懐かず、家から出ないそうせきで、(D)は飼い主にも懐かず、家から逃げ出そうとするクールボーイ、となる。
この2種を合わせると、猫と人間と家の関係を8つのタイプに分けることができる。両方をかけ合わせると16通りだ。①~④と(A)~(D)は人と猫の関係で重なる部分があるが、前者は人と猫、後者は人と家という別物なので、かぶりを気にしないでざっくりと考えたい。
そうすると、かけ合わせの16通りではなく、猫のタイプを2つに分類することで、シンプルでわかりやすくなる。
我が家の猫で言えば、ジュテは①(B)、ガトーは①(A)、クールボーイは②(D)、そうせきは②(C)ということになる。
我が家の4匹には③と④がいない。だが④は、近所の酒屋さんの猫がそうだった。野良猫を保護したものの、飼い主には全く懐かず(例外的におばあさんにだけ気を許す)、家から逃げ出す。見つかったものの、元の一匹狼の野良猫になっていたという。
③の「人とは仲がいいのに猫同士では仲が悪い」という猫にお目にかかったことがないが、そんなのもどこかにいるのかもしれない。
ガトーはペットにふさわしい猫だ。ヤクルトのおばさんでも宅配の人でも、チャイムが鳴ると急いで玄関へ走っていき、撫ででもらおうとする。玄関の三和土にゴロニャンする。出て行く時はお見送りするだけで、外に出ようとはしない。脱走の心配が全くない。
ジュテはどこででも生きていける、逞しい本来の猫らしい猫だった。勇敢でカラスとケンカして帰って来ることもあったし、家でも外でも自由気まま。初対面の人に抱っこしてもらい、近所のお年寄りには玄関まで道案内するような、変わった面があった。
クールボーイとそうせきは、来客がありチャイムが鳴っただけで、速攻で「幻の猫」になる。探すのにひと苦労するのだ。しかし、そうせきはしばらくすると姿を現し、「ミーミー」と何かを訴える。クールボーイは姿を現すが、近づくとさっさと逃げてしまう。
そんな猫たちの様子を見てしばらくの間、ぼんやりとその性格について考えていた。4匹とも性格が異なり、変なヤツらだなと思っていたが、①~④と(A)~(D)の猫分類法なら、どんな猫たちなのか、シンプルに理解できた。
猫に接する人には、この自称「M式猫分類法」を一助にしてもらえたらと思う。
(峯田淳/コラムニスト)