子供のシッターはわかるけど、猫のシッターってどんなことをやってくれるのか。見ず知らずの人に預かってもらって、本当に大丈夫?
そんなふうに疑心暗鬼になるのも当然だ。とにかく連絡して、紹介してもらったシッターのSさんに来てもらうことにした。
2016年の秋、海外に出かける1週間ほど前のことだった。小柄なSさんは控えめな感じの人で、ジュテやガトー(ウチの猫2匹=写真)には、これ見よがしに猫なで声でベタベタ接するような人ではなかった。初対面の人が妙に馴れ馴れしかったりするとむしろ不安になるので、ホッとした記憶がある。
以下はSさんとのやり取りだ。
「猫ちゃんは2匹ですか」
「お願いするのはジュテとガトーの2匹。ジュテは5年前に道で会って、そのままウチに居ついた猫で、その時に病院の先生に診てもらったら、2歳くらいだって。ガトーは5月にここに引っ越してきてすぐにもらった保護猫で、まだ4~5カ月」
「1日に1回とか2回、3回と(シッター訪問が)ありますが」
「う~ん、Sさんにお願いする人は何回くらいが多いですか」
「いろいろですよ。1回というおウチもあれば、3回というおウチも」
連れ合いのゆっちゃんは「お昼前後と夕方の2回はどうかな」と言う。2回で決まりだ。
「特にこういうふうにした方がいいとか、用意した方がいいとかありますか」
「ごはんは1週間なら1週間分でいいです。なくなったら買い足しますから。それから、いつも遊んでいる猫じゃらしやオモチャがあったら、置いといてもらえれば」
水を飲む場所やトイレの位置、猫砂を置いている場所の確認も。
「大はトイレに流してください。オシッコは流さないので、専用のこのバケツみたいな入れ物に入れてください」
「溜まったらゴミ出しもしておきますよ」
ゴミ出しOK? 前の晩から出すこともできるので、やってもらえたらありがたい。
「具合が悪くなった時のことを考えて、いつも連れて行く動物病院を教えておいてください」
「わかりました。キャリーバッグと一緒に診察カードも入れておきます。住所、地図がわかるように。近所だから自転車を使ってください」
肝心の料金はどうか。基本料金はシッティング代が1時間2700円(2匹まで)。1匹追加ごとに500円で、交通費は実費で900円だった(拙宅まで往復)。計算すると、1時間で2匹までなら合計3600円ナリ。
この時はジュテとガトーの2匹なので、1日2回で3600円×2=7200円、7日なら5万400円である。
この金額ならホテルに預けるよりは安い。家に付くといわれる猫にとって、居場所が変わらないのがベストだ。飼い主がいない寂しさはあっても、ホテルに泊まるストレスや負担を考えたら、シッターが来て1日に2回も人と接することができれば、2匹ともなんとかやり過ごすことができるのではないか。
Sさんの場合、もっとやってもらえることがあることは、話をしているうちにわかった。
何日も留守にする時は新聞の配達を止めるため販売店への連絡が必要だが、
「新聞や郵便物も取り込んでおきましょうか」
「そんなこともお願いできるの?」
「時間があったら、植木の水やりもやりますよ」
3階建ての我が家には入り口に植栽があり、小さな庭もある。3階のベランダには植木鉢を置いている。冬になるまで、その水やりは欠かせない。育てているゆっちゃんにとっては頭が痛い問題で、誰かにお願いできなければ、始末して出かけなければならないのだ。
水やりの時間は10分か15分くらい。猫の面倒を見た後にやってもらえるなら、悩みの種が消える。
「えっ!? 水やりもお願いできるの?」
ゆっちゃんは小躍りして声を上げる。
夕方から夜にかけては、シッターさんが訪問して灯りをつけてくれることで「この家には人がいるな」と思わせ、泥棒除けにもなる。
料金のことも猫のシッティング以外にお願いできることも、こちらにとっては願ったりかなったり。ジュテとガトーのためにも、シッターさん一択だった。
(峯田淳/コラムニスト)