自民党の萩生田光一元政調会長は、1月8日にインターネット番組「ニッポンジャーナル」に出演した際、昨年12月31日夜にNHK紅白歌合戦を見ていて、出場歌手の基準がどうなっているかわからないとの感想を持ったという。そう思いながら、これは自民党に似ている、との印象を強くしたそうだ。
NHKは選考基準について①今年の活躍、②世論の支持、③番組の企画・演出の3つの要素を挙げている。これを中心として「データを参考資料として検討のうえ、総合的に判断いたしました」と、最後は「総合的」とぼやかしている。萩生田氏のように普段、歌番組を見ない視聴者にとっては、わかりやすい基準とは言えないだろう。
それは自民党も同じで、萩生田氏は執行部が政治資金パーティー券収入の不記載問題で、「赤い羽根共同募金」で知られる社会福祉法人「中央共同募金会」に8億円を寄付した決定について「いつ誰がどこで決めているのかわからない」と疑問を投げかけた。そして「最近の自民党、よくわからないですよ」「なぜその団体に出したとか言わないとわからない」と続けた。
不記載問題などで批判を浴びた萩生田氏が声を上げるようになったのは、昨年6月の通常国会で党執行部から衆院政治倫理審査会に出席する必要はないと言われたのに、昨年10月には出席しなかったことを理由に党執行部の決定で非公認となり「えらい目にあった」からだ。
しばらく沈黙していた「八王子のジャイアン」こと萩生田氏が声を上げるようになると、石破茂首相(総裁)もその動向に神経を使うことになりそうだ。
(田中紘一/政治ジャーナリスト)