自民党最大勢力の安倍派(清和政策研究会)は4月27日、先の衆参5補欠選挙で初当選した岸信千世氏(衆院山口2区)、吉田真次氏(同4区)、白坂亜紀氏(参院大分選挙区)の入会を決定した。3人の加入で、同派の所属議員は99人となった。
党内の最大派閥としての存在感をいかに示すかが問われるが、会長はいまだに空席のままだ。安倍派に隠然たる力を持つ森喜朗元首相が最近、周辺に「そろそろ会長を決めないといけない」と語ったとする話が流れており、安倍元首相の1周忌(7月8日)前には決めようという動きが、水面下で活発化している。
ここで浮上しているのが「萩生田・世耕」共同代表案だ。衆院から萩生田光一政調会長、参院議員で作る「清風会」を仕切る世耕弘成参院幹事長が、約100人の大所帯をとりあえず分担して統治しようという案である。
清和会にはこれまでも、共同代表を採用した先例がある。町村信孝会長が福田康夫政権で官房長官に就いた。そこで中川秀直元幹事長、谷川秀善元参院幹事長との3人による代表世話人体制に移行。今回もそれに倣おうというものだ。
ここで注目されるのが、衆院側の代表が西村康稔経産相ではなく、萩生田氏であるという点だ。西村氏が閣僚であるというのが表向きの理由だが、派内で人望のない西村氏を事実上、外そうという思惑もある。
もっとも、世耕氏も地元の衆院和歌山1区の補欠選挙で選対責任者を務めながら、自民党候補を落選させてしまった責任の一端がある。さらに、林芳正外相のG20(主要20カ国・地域)外相会合欠席問題も「(衆院に転出した林氏に対する)世耕氏のイジメが理由」との評判が立つなど、なにかと評判が悪い。
世耕氏の言う通り「共同代表制を認めていいのか」という異論も根強く、もうひと波乱ありそうだ。