中日・中田翔の「15キロ減量」に、古巣の巨人OBを中心に、疑問の声が上がっている。中田の昨季のプロフィールは身長184センチ、107キロだったが、オフにダイエットに取り組んだ。現在、沖縄での自主トレを行っている段階で、92キロまで落ちている。さる巨人OBは、
「中田はまだ体重の話をしているのか」
と暗い表情を見せるが、そう言いたくなるワケをスポーツ紙遊軍記者が代弁する。
「巨人時代、飛距離が落ちたとか強靭なボディーを作るなどと言って、大幅に体重を増やしたことがあったからですよ。結果的にその無理な増量がたたり、持病の腰痛が悪化する原因となりました。今回は腰に負担をかけない意味があってのダイエットでしょうが、それではこの数年は何だったのか、となる」
別の巨人OBはかつて、中田に警鐘を鳴らしていた。
「ボールは体重で飛ばすものではないよ。打撃はそんな単純なものじゃない」
中田は2021年のシーズン途中に、日本ハムから巨人に移籍した。そのオフに「腰に不安を抱えているのに、過激な体重増加はよくない」という周囲の心配を尻目に、一時92キロまで落ちていた体重を、食事の量や回数を増やす作戦で112キロまで増量。そのシーズンは打率2割6分9厘、24本塁打、69打点と復活の足がかりをつかんだように見えたが、それ以降は腰痛に苦しみ、ジリ貧状態に。結果的に巨人と決別する形で、中日移籍を余儀なくされた。
中日移籍後も腰痛改善のメドは立たず、痛み止めを打ってプレーしたが、腰以外の故障もあって、出場はわずか62試合に。打率2割1分7厘、4本塁打、21打点の成績で、チーム3年連続最下位を演出するひとりとなった。
藁にもすがる思いでの今回のダイエットだろうが、
「だったら、今回のダイエットが失敗したらどうするのか。また増量するという話になるのか」
と皮肉を言う球界OBもいる。現段階ではダイエット効果からか、
「(腰の状態は)全然違う。スッと起きられる」
中田はそう話しているが、全てはシーズン中の結果次第。井上一樹監督から許可をもらっており、キャンプには数日遅れての合流となる中田が、契約最終年でどんなプレーを見せるのか。
(阿部勝彦)