もはや一個人の「やらかし」で、この騒ぎは収まらないところまで進行してしまった。中居正広が引退したとて、問題はフジテレビに残されたままだ。
フジテレビは局幹部社員が女性トラブルに関与した疑惑について、一旦は否定しているが、第三者委員会を設置して今後、調査するという。フジテレビ社員の ホンネはどうなのか。番組制作に携わるベテラン社員は憤りをあらわに、こう訴えた。
「完全にクロと言い切れるのか。週刊誌の怒りを買ってさらにめくられたら、視聴者、クライアントからの信頼回復は絶望的になる。港浩一社長、日枝久相談役は自分たちの保身に走らず、即刻責任を取って辞任してほしい」
目の前の危機的状況は全く去っていない。間近に迫っているのは「CM枯渇問題」だ。ベテラン社員が続ける。
「今は出稿しているクライアントがACジャパンの差し替えを要請しているので、その対応だけで済んでいます。ところが契約期間は３月末までというのが多く、新年度を迎える４月以降は新たに契約を結び直したり、更新するのが通例。ですがこの状況下では、まともに着手なんてできない。ACジャパンを無限には流せないので、空いたCM枠は自社の番宣でまず埋める。それでもダメなら、お天気カメラをバックに環境音楽を流してしのぐほかない。もはやメディアとして機能していない状況に追い込まれます」
そして中居がフジテレビ元女性社員への性加害の真相を全く語らないまま、闇に葬り去ろうとしている影響は、フジテレビ関係者が思っている以上に、さらなる深刻な状況を引き起こしている。
「まさに兵糧攻め。フジテレビは自分で蒔いた種で首を絞めているのだからしょうがないが、関係のないテレビ局まで巻き込むのは勘弁していただきたい」
こんな切実な声を上げるのは、フジテレビ系列局の中堅社員だ。営業セクションに携わっており、地元のクライアントからは連日、CM出稿に関することやフジテレビの対応で、叱責され続けている。続けて苦境を明かすには、
「すでに一部系列局では顕著になっていますが、鉄道やインフラ企業がACジャパンへの差し替え指示を出してきています。最も困るのは、出稿が多いパチンコホールの差し替え。定期的に新台入れ替えや、リニューアルオープンの告知をCMで出稿してくれるので、お得意様なのです」
さらなる問題が出てくるのは、４月以降に事態を引きずったり、第三者委員会の調査結果が相当に悪かった場合で、
「CMを新規出稿しない、あるいは全部引き上げると言われたら、経営危機に陥る地方局がいくつか出てくる。フジテレビはそれらを含めて、売り上げを補填できるのか。系列局から訴訟を起こされるリスクさえありますよ」（前出・系列局中堅社員）
もはや中居が引退したことよりも重篤な事態に陥っているのだった。
