なんとも出入りの激しいセ・リーグの順位変動。いつの間にやら広島が首位に立ったのは、巨人を3タテして4連勝を決めたからだ。現時点で2位の阪神には1.5ゲーム差をつけている。
広島は先発の床田寛樹が9回7奪三振、3四球、無失点で、今季初完封。8安打も浴びながら2年ぶりの完封勝利となったのは、ストライク率60%というズバ抜けた制球力があるから。特に左打者に対しては、ほとんどの球をアウトローの際どい部分に投げ、ピンチになると150キロ前後まで急速を上げて、カットボールやツーシームで巨人打線を翻弄させた。
一方の巨人は、5番・中堅で先発出場したヘルナンデスが、5回二死二塁の場面で、小園海斗の中前打をまさかの後逸。バックアップが誰もおらず、外野を転々とする球を追い続け、打者走者の小園の生還を許す。一挙2点を奪われ、勝ち越されてしまった。
野球評論家の高木豊氏は、ヘルナンデスの守備について、
「芝が跳ねたんだろうけど、なんで横で捕っちゃたんだろうね」
と首をかしげる。6回登板した中央大学の後輩・西舘勇陽には、かなり辛辣だった。
「あえて言うけど、単に腕を振っているだけじゃダメだね。ボールに対する意図が、ベンチだけじゃなくファンにも伝わっていない。投球の組み立てを考えて、厳しいところに投げていかないと、プロでは通用しない。1球1球、(捕手の)甲斐が出したサインを瞬時に考えて投球しろ」
そう言って、特大の「喝」をかましたのだった。
広島は4月に入り、ケガ人が続出しながらも7勝3敗1分と、好調をキープしている。3勝7敗1分で5位に転落した巨人とは対照的だ。
「打線は水もの」とはよく言うが、長いペナントレースでは、やはり「投手力」や「鉄壁の守り」がモノを言う。高木氏の言葉がヘルナンデスと西舘に届いているといいのだが。
(ケン高田)