ベテラン騎手・横山典弘が乗れている。この週末前の時点で9勝、リーディングの13位にいる。2020年に63勝を挙げて以降は26勝⇒36勝⇒36勝⇒19勝と低空飛行が続いていたが、今の勢いをもってすれば、50勝以上は十分に可能だろう。JRA通算勝利数は2964勝だから、年内には武豊に次いで史上2人目の3000勝達成となる公算大である。
いったい、この好調の裏には何があったのか。関東のトラックマンが解説する。
「乗り方はこれまでと変わってはいませんが、気負うことなく騎乗して、馬とのコンタクトがうまく取れている。先週、3歳未勝利を勝ったヴォンフレは気難しいところがあって乗り難しい馬ですが、そうした面を全く出さずに走ってみせた。同馬を管理している村田一誠調教師が、上手に乗ってくれたと喜んでいましたね。もちろん2人の息子が頑張っていることも、いい刺激になっている。仕事上ではライバルとなるわけで、負けてはいられない」
今週は土曜に京都で5頭、日曜に東京で2頭に騎乗する。
京都9Rこぶし賞(3歳1勝クラス)のマテンロウバローズは2週前の東京で新馬勝ちした馬。遠征後の中1週出走は気になるが、素質十分なだけに楽しみだ。
京都11Rの洛陽S(4歳以上オープン)のサンライズロナウドは前走のニューイヤーズSで、トロヴァトーレから0秒1差の2着。テンションが高い馬だが、右回りでの走りは堅実だ。ハンデは前走から1キロ減の56キロ。好勝負必至だろう。
日曜の期待馬は、共同通信杯(GⅡ、東京・芝1800メートル)に出走する村田一誠厩舎のリトルジャイアンツ。今回で4戦連続の騎乗となるが、これまで2勝、3着1回と好相性だ。前走の若竹賞では最後方から競馬を進め、直線で前にいた10頭をゴボウ抜きしている。東京は3走前に差し切り勝ちをしているように、絶好の舞台。9頭立てなので、捌くのに苦労することはないだろう。
父トーセンラー、母コスモメリーと血統は地味だが、横山は「この馬のポテンシャルには目を見張るものがある」と高く評価している。馬体はデビュー時より10キロ以上増えて、成長著しい。先週、美浦・坂路の調教で4F50秒7の自己ベストを出したように、デキは絶好だ。
村田師が「頼りになる騎手」と全幅の信頼を寄せている横山が、巧みな手綱捌きでリトルジャイアンツをVへと導くか。
(兜志郎/競馬ライター)