勝利を積み重ねていくとともに、「海外武者修行」も具体化してきている。
「兄弟子の野中悠太郎(22)がアイルランドで、同期の坂井瑠星(21)が豪州で武者修行を行ったことが刺激になっている。彼女の修行先として有力なのが豪州。憧れのリサ・オールプレス騎手も豪州で乗っていますからね」(スポーツ紙デスク)
そのための準備も怠りはない。
「競馬学校時代の筋トレ嫌いは有名ですが、17年の年明けから筑波大の体育総合実験棟に通い、今は毎週火曜日、専属トレーナーのもと、ハードなメニューをこなしている。菜七子流といえば、一本歯の下駄を使ったトレーニング。スピードスケートの小平奈緒が実践していたのを参考にして、体の左右の均整に努めています」(スポーツ紙記者)
さらに騎乗テクニックも騎手会のレジェンドたちに教わりながら進化を続けている。馬主関係者が明かす。
「騎手会の役員たちは、相談役の柴田善臣(52)を筆頭に、関東支部長の横山典弘(51)など、彼女を特別扱いすることはないけど、若手が質問しやすい環境を作っているね。ただ、今年の騎手会の新年会では『善臣さんの話は年々くどくなってる』なんて声も聞かれたよ(笑)」
会長の武も、話題先行のプレッシャーから守るようにフォローし、事あるごとに、菜七子に「戦訓」を送っている。
「デビュー2戦目、菜七子と初めて一緒に乗った武が、レース後の記者会見に突然、乱入してきた。そしてみずからマイクを持って即席のインタビュアーに変身。粋なはからいで、張り詰めた空気が和みました」(スポーツ紙記者)
菜七子は「レース後の検量室でパトロール映像を見ながら、注意点やここはこうしたほうがいいとアドバイスをもらいました」と、競馬界のスーパースターからの直々の助言にいたく感謝していた。
「武はレースの時だけに限らず、馬主主催の謝恩会の席に一緒に招かれれば、そこでもフォローして相談ごとにも耳を傾けている。ただ、技術論となると福永かな。彼は鞭一つとっても重さにまでこだわって教えている。右鞭が苦手な菜七子に連動性やタイミングを指南していた」(馬主関係者)
意外なのは、マイペース型の印象がある横山典だ。スポーツ紙記者が言うには、
「息子2人(和生騎手と武史騎手)に質問されれば、自宅でVTRを見ながら助言しているだけあって、教え方に定評がある。若手が慕っていますね」
レジェンドたちからのアドバイスを素直に取り入れ覚醒した菜七子は、勝ち鞍も伸びてきた。結果、今や調教師や馬主の菜七子評は上昇中なのだ。