デビュー2年目の女性騎手・永島まなみがプチブレイク中だ。先週は土・日で3勝を挙げ、今年通算16勝となった。1年目が7勝だったので、すでに倍以上の勝利数。今の勢いならば、20勝超えも十分可能だろう。
飛躍のきっかけとなったのは、10月16日の3歳以上1勝クラスによる千直戦(新潟)。圧倒的に不利と言われる1枠1番のセルレア(15番人気)に騎乗し、1頭だけ内ラチ沿いに進路をとって、勝ってみせたのだ。この大胆な騎乗には、見ていた競馬ファンも唖然としてしまったほど。それも当然だろう。千直で1枠1番の馬が勝ったのは、5年前のウランゲル(はやぶさ賞)以来なのだから。
さらに言えば、内ラチ沿いを駆けて勝ったのは、千直競馬が01年に始まって以降、初めてとなる(ウランゲルは外ラチの方に進路を取った)。
そして忘れてならないのは、この快挙の裏には努力の積み重ねがあったことだ。栗東トラックマンが明かす。
「彼女は誰もいない夜の時間に、騎手寮にある木馬に乗って練習をしています。夏前から筋力を鍛えるために、マンツーマンのジムにも通っている。それで下半身に筋肉がついて馬を御しやすくなり、バテかけた馬をもたせられるようにもなった。さらに、普段から騎乗する馬の癖などをしっかりつかむようにしている。分からないことがあると横山典弘騎手にアドバイスをしてもらっているようで、なかなかの努力家ですよ」
セルレアで勝ってからは、騎乗依頼もグーンと増加。それにともない、勝利数も飛躍的に伸びてきた。「永島まなみに乗ってもらいたい」という有力馬主も多くなってきたことで、馬質も上がっていくに違いない。
そんな彼女は、16勝中7勝が7番人気以下の馬で「万馬券娘」という異名も付いた。だがそのイメージはここにきて、変わりつつある。
11月に入ってからの3勝(全て福島)は1番人気が2回、2番人気が1回と、人気馬に乗ってのものだった。2回の2着(ともに地方での交流戦)も、4番人気と3番人気によるものだ。
馬券的な妙味は薄らいだかもしれないが、目が離せない存在となりそうだ。
(兜志郎/競馬ライター)