中山競馬の狭間で行われてきた東京開催は2月23日で幕。その掉尾を飾るのは年明け最初のGⅠ戦となるフェブラリーSだ。ダート巧者の一線級がそろう見応えある一戦で、今年も錚々たる顔ぶれである。
ただ、これまでのGⅠ戦で活躍していたレモンポップをはじめとする常連組は現役を退いており、次代を担うスター候補が集う、まさに雌雄を決する競馬。見応え満点のGⅠ戦と言っていいだろう。
まずは顔ぶれを見てみよう。前哨戦の1つである武蔵野Sを制したエンペラーワケア、同じくプロキオンS勝ちで目下2連勝中のサンデーファンデー、海外遠征で存在感を示すデルマソトガケ、昨秋のチャンピオンズC3着のドゥラエレーデ、昨年の覇者で東京コースを得意とするペプチドナイル、デビュー以来すべて3着以内に好走しているミッキーファイトなどが有力候補に挙がっているが、いずれも力量は確か。どういう結末が待っているのか、予断は許されない。
過去のデータをひもとくと、03年に馬単が導入されて以降、これまでの22年間、その馬単での万馬券は7回(馬連では6回)。この間、1番人気馬は12勝(2着2回)、2番人気馬は3勝(2着4回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は3回のみ。昨年は3連単153万円馬券の大波乱となったが、データ的には中穴傾向のGⅠ戦と言えそうだ。
年齢的には出走頭数が多いことから、充実ぶりが目立つ5歳馬が9勝(2着7回)とよく連対を果たしているが、ノビシロが大きい明け4歳馬も過去22年で8勝(2着5回)を挙げており、出走頭数を思えば5歳馬にヒケは取らない。また6歳馬も5勝(2着2回)と善戦しているものの、7歳以上の古豪はピークを過ぎているようで、勝ち負けするのは難しいようだ。
ただ今年は、前記した有力どころは一長一短。データ通りの結果になるかどうかは微妙だろう。そこで当方が最も期待を寄せたいのは、アーテルアストレアだ。6歳牝馬だけに、本来ならピークを過ぎていてもおかしくないが、牝馬にしてはとにかく奥手である。
地方交流戦を多く使ってきた馬で、前走のチャンピオンズCは1年ぶりの中央戦だった。勝ったのは1番人気に支持されたレモンポップだったが、比較的前残りの緩いペースの中、道中、最後方から直線一気の強烈な末脚を発揮。レモンポップとコンマ5秒差の7着に頑張ってみせた。
出遅れもあった中でのこのパフォーマンスに、厩舎関係者は「これならフェブラリーSに挑戦させても」となったわけだ。
1800メートル戦に最も実績があり、中央でのマイル戦は初めてになるが、交流戦では昨夏のGⅢスパーキングレディー(川崎、ダ1600メートル)を制している。なので、中央でもやれていいのではないか。
左回りの中京で3勝を挙げているものの、東京コースは2度使われて3着と5着。ただ、まだ力をつけていなかった頃で、2走とも2100メートル戦だった。なので、たくましくなった今なら、東京のこの舞台は悪かろうはずがない。
近親、一族にはセンチュリオン(GⅢマーチS)、タイムズアローなどダート巧者が実に多くいる血筋。そのあたりも魅力だけに、穴党としては食指が動く。
前走後は放牧でリフレッシュ。1週前の追い切りも力強く、それでいてリズミカルで状態のよさは一目瞭然だ。橋口調教師をはじめ厩舎スタッフも「いい雰囲気に仕上がっている。相手は強くなるが、ここにきて体質強化。進境が見られていい」と口をそろえるほど。脚抜きのいい馬場でも好走しており、晴雨にかかわらず〝一発〟があっても不思議はない。