秋が深まりつつあり、最高の競馬シーズンを迎える。先週の菊花賞に続く、秋のGⅠ第4弾は、伝統の天皇賞・秋。府中競馬場での芝2000メートル戦だ。
例年にもれず顔ぶれがいい。登録馬17頭のうち13頭が重賞勝ち馬で、GⅠ勝ち馬が6頭。それに準ずる馬(GⅠ2着)も2頭いて、力はハイレベルで拮抗している。それだけに馬券的にも面白味があり、また難解でもある。
まずは顔ぶれを見てみよう。昨春の天皇賞馬で昨秋も2着したジャスティンパレス。昨年の皐月賞馬ソールオリエンス、昨年の有馬記念を制したダービー馬ドウデュース、大阪杯の覇者ベラジオオペラ、そして三冠牝馬の女傑リバティアイランドと驚くばかりのメンバーで、その他、伏兵陣も多彩だ。
秋の盾は比較的順当に収まると言われているが、今年はどうだろう。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの22年間、その馬単での万馬券は5回(馬連は2回)。この間、1番人気馬は12勝(2着4回)と半分以上を占めているが、2番人気馬はわずか1 勝(2着5回)のみ。1、2番人気馬によるワンツー決着も2回しかない。確かに人気サイドでの決着も多いが、人気薄の連絡みも多々あり、中穴傾向のGⅠ戦と言っていいか。
あと、春の盾と比べて牝馬の活躍が目立っている。過去22年の主な勝馬はウオッカ(08年)、ブエナビスタ(10年)、アーモンドアイ(19年、20年を連覇)だが、いずれも男勝りのスーパーウーマン。果たして、リバティアイランドが肩を並べるまでになるか、目が離せないところである。
年齢的には他の重賞と同様、4歳、5歳馬が圧倒的な強さを見せている。今年は登録がないものの、伸び盛りの若さと軽い斤量にモノを言わせて3歳馬がよく勝ち負けしており、反対に6歳以上の古馬は苦戦傾向にある。6歳以上の馬はサトノエルドールやステラヴェローチェなど4頭いるが、あまり肩入れすべきではないのかもしれない。
いずれにしても、これだけの好メンバー。目移りするばかりで悩ましいが、当欄としては、人気薄の馬に目を向けてみたい。狙いはキングズパレスだ。
気性的に難しい面があり、騎手とのコンタクトが取りづらく、まだ重賞での勝ち鞍はない。しかしオープンに昇級後は、重賞で②②③着と接戦を繰り返しており、ポテンシャルは高い。陣営も期待が大きいからこそ、GⅠの舞台に挑戦してきたわけだ。
「勝ち切れないでいるが、力は確か。ここに入っても見劣りしないと思っている」とは戸田調教師の弁。
1週前の追い切りは軽快そのもので、実にリズミカル。体調はさらにアップしている印象を受けた。であれば、穴党としては大いに期待したいところだ。
しかも血統がいい。母ドバウィハイツはGⅠ2勝馬で母系は英国のGⅠ血統。陣営が強調するように、このメンバーに伍しても決して見劣りはしない。強烈な末脚を武器としており、直線の長い東京コースは〈1 5 0 1〉と得意にしているのも強みと言えるだろう。
東京の芝2000メートルは、多頭数になるほど内枠の馬が有利になる。スタートして加速がつくところで急に折れる最初のコーナー(2角)があるため、外枠の馬はハジかれたり膨れたりといった不利を被りやすいためだ。
なので、大外枠を引かないことが好走条件のポイントになるが、この馬の強みはもう一つある。とにかく道悪が上手なこと。馬場が渋るようなら、チャンスはより大きくなる。