秋の深まりとともにGⅠ戦線も佳境を迎え、今週のメインは京都で行われるマイルCS。春の安田記念と肩を並べるマイル王決定戦だ。
今年も顔ぶれがいい。図抜けた存在はいないもののハイレベルで力が拮抗しており、既成勢力より、これから伸してくる新興勢力が多いところが魅力だろうか。ダービー(9着)以外は負けなしの3歳馬シックスペンスがその最たる存在で、久々となった前走の毎日王冠は余裕残しの状態での勝利。スター候補であることは間違いない。
古馬ではジュンブロッサムか。前哨戦の富士Sを快勝し、勢いづいての挑戦とあっては目を離せない。さらに同2着のソウルラッシュも、休み明けを使われての変わり身が見込めるため、これまた怖い存在だ。
また今年は、13年ぶりに外国馬が参戦する。欧州GⅠ3勝の英国馬チャリンも不気味な存在で、どんな競馬を見せてくれるのか、楽しみでならないし、その他の伏兵陣も多彩。馬券的には、とにかく面白そうだ。
それでは、過去のデータを見てみよう。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの22年間、その馬単での万馬券は6回(馬連は4回)。この間、1番人気馬は6勝(2着4回)、2番人気馬は1勝(2着5回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は1度しかなく、大きく荒れることはマレだが、それでいて簡単に人気サイドでは決まらないGⅠ戦とみていいだろう。
年齢的には他のレースと同様、勢いに乗る4、5歳馬がよく連に絡んでいる。過去22年間で4歳馬が8勝(2着11回)、5歳馬は7勝(2着8回)と他の世代を圧倒。ただ、出走頭数は少ないながら、近10年で3勝を挙げている3歳馬の活躍も目立っている。前記したシックスペンスは純然たる有力候補であり、重視しなければいけない馬だ。
悩むところだが、最も期待を寄せてみたいのは、5歳馬のナミュールだ。
昨年、このレースで初GⅠ制覇を成し遂げた後は、香港マイル(3着)、ドバイターフ(2着)、ヴィクトリアM(8着)、そして前走の安田記念で僅差2着と、ここにきての充実ぶりは目を見張るものがある。
今回はそれ以来5カ月半ぶりの実戦になるが、夏場は休養に充て、ハナからここを目標にしっかりと調整されてきている。久々とはいえ鉄砲駆けの実績は十分で、1週前の追い切りも軽快でリズミカル。状態のよさがうかがい知れた。
高野調教師をはじめ、厩舎スタッフも「重め感はなく臨戦態勢は整っている。力を出せる仕上がり。何より地力強化されているのがいい」と目を細めるほど。
そうであれば、勝ち鞍5勝のすべてが1600メートルというマイル戦巧者。曾祖母も桜花賞を制したキョウエイマーチで、こうした血筋から踏んでも、ここはこの馬にとって格段の舞台でもある。強烈な末脚が身上で連覇を期待したい。
穴中の穴として注目したいのは、とにかく状態のよさが目立つバルサムノートだ。1週前の追い切りも文句なしだった。
こちらは先行力が持ち味で、春とは違ってたくましくなっており、京都コースも1戦1勝と相性がいい。
母は重賞2勝馬で近親、一族に活躍馬が多くいる良血。ナミュールと同じ高野厩舎の所属馬で〝親子丼〟があっても不思議はない。