とめどもなく続くGⅠ戦。12月1日は中京を舞台にダート界の王者決定戦であるチャンピオンズカップがメインとして行われる。
東京でスタートを切ったジャパンカップダートがその前身。00年の創設だが、08年から阪神、そして14年から舞台が中京に移り、名をチャンピオンズCに改めて国際競走になった。
ダート界の充実ぶりは目覚ましいものがある。海外に打って出てGⅠを制した馬も何頭かいるばかりか、本場アメリカのブリーダーズCクラシックでフォーエバーヤング(3着)のように僅差の勝負ができるような馬が現れるほど、急激にその層が厚くなっている。
というように年々、ダート競馬は面白みを増しており、ファンの目を引きつけるまでになっている。そんな中で行われるGⅠ戦だけに、まさに必見のレースと言っていいだろう。
とにかく顔ぶれがいい。昨年の覇者であり、マイルCS南部杯を連覇したレモンポップを筆頭として、錚々たるメンバーが集う。
JBCクラシックで初GⅠ制覇を成し遂げて勢いに乗るウィルソンテソーロ、今年のフェブラリーSの1、2着馬ペプチドナイルとガイアフォース、目下、重賞を連勝中のクラウンプライド、みやこS勝ちのサンライズジパング、中京が得意で前走のシリウスSを制したハギノアレグリアス、東京ダービーの覇者ラムジェットなど、まさに目移りするばかりだ。どんな競馬が繰り広げられるのか、興味は尽きない。
まずは、過去のデータを見てみよう。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの22年間、その馬単での万馬券は7回(馬連は3回)。この間、1番人気馬は8勝(2着6回)、2番人気馬は2勝(2着0回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は1回のみで、言ってみれば中穴傾向のGⅠ戦だが、2番人気馬が振るわないところをみれば、馬券的にも簡単でないことがわかる。
年齢的には充実ぶりが著しい5歳馬が強い。出走頭数が多いこともあるが、過去22年で10勝、2着6回は他の世代を圧倒している。そして芝のGⅠ戦とは異なり、古馬の頑張りが目立つのも特徴である。連対実績では6歳馬(4勝、2着7回)が4歳馬(4勝、2着4回)を上回っており、古豪の活躍には注意を払うべきだろう。
そういう意味では6歳馬のレモンポップやペプチドナイルに人気が集まるのもうなずけるところだが、最も期待を寄せてみたいのは、ミックファイアだ。
周知のように、デビューから7連勝を飾った南関東三冠馬。中央の強敵相手にジャパンダートダービーを完勝するなど、地方競馬では抜けた存在だった。
しかし、盛岡でのダービーグランプリ以降は持病でもある裂蹄がひどくなり、満足のいく調整ができないまま東京大賞典(8着)、フェブラリーS(7着)と結果を出せなかった。
そして、かしわ記念(5着)のあと、5カ月半の休養を挟んで迎えた秋初戦のマイルCS南部杯は4着に終わったが、この中間、脚元の不安もなく、すこぶる順調。1週前追い切りも坂路で文句なしだった。
「体重も増えてたくましくなり、ようやくこの馬らしい姿になった。これなら、という気持ち」
渡辺調教師は、そう言って目を細めるまで状態が戻ってきている。
曾祖母は凱旋門賞などGⅠ5勝のオールアロングという良血。ルメール騎手とのコンビも魅力で、大きく狙ってみたい。