自らの町の観光パンフレットに「〝ヤバイ″ぜ!おおとう町」と銘打つのが福岡県にある大任町だ。田川市に隣接する人口5000人ほどの、普段はのどかな町だが、町の歴史は文字通り、ヤバイといえる。町長が執務中に殺害され、議長も銃撃され、そして町議会では長らく一般質問が行われてこなかった。
その大任町について、ニュースサイト「ハンター」が2月17日に「東京地検特捜部が、永原譲二大任町長を中心とした談合組織の実態について捜査を行っていることが明らかとなった」と速報で伝えた。
永原町長は現在、5期目。福岡県町村会会長を4期務め、全国町村会の副会長にもなるなど、地元では実力者として知られる。
その一方で、長女が理事長だった組合事務所に火炎瓶が投げ込まれたほか、2021年には町政を批判するビラを配った町民男性を特殊警棒で脅した疑いなどで、書類送検された。福岡地方検察庁飯塚支部は「起訴するに足りる証拠がなかった」として、不起訴にしている。
永原町長は公共工事の入札結果を非公表にするなど、強引な町政が批判を浴びてきたが、はたして特捜部のメスが入るのか。
かつて永原町長は武田良太元総務相の選対委員長として選挙を仕切ったこともあるなど、両者の関係は深い。その武田氏は昨年10月の衆院選で、日本維新の会の新人候補に敗れ、落選した。
永原町長に対する捜査が行われれば、武田氏の再起にも微妙な影響を与えることになることだろう。
(中村哲治/政治ジャーナリスト)