「日本一かわいい柔道家」が帰ってきた。アゼルバイジャンの首都バクーで行われた柔道グランドスラムで2月14日、女子52キロ級の阿部詩が復活Vを果たした。スポーツ紙デスクが手放しで称賛する。
「連覇を狙った昨年パリ五輪、まさかの2回戦敗退から7カ月ぶりの海外での復帰戦ということで、かなりの重圧があったようです。しかしフタを開けてみれば初戦、2回戦ともに一本勝ち。迎えた決勝戦ではドイツの長身マーシャル・バルハウス選手に相対し、終了間際に抑え込み一本をとった。オール一本勝ちでの優勝で、完全復活を遂げたと言っていいでしょう」
帰国後、阿部はインタビューに答え、
「久々の大会だったので緊張もしながら、畳の上で戦う楽しさを持ちながら柔道ができた。また戻ってきたなという感覚です」
颯爽と「第2章」の手応えを語っているのだ。
華麗なる復帰をアピールした阿部だが、別のタタミにも一歩踏み出していた。2月28日公開の映画「TATAMI」(配給:ミモザフィルムズ)で、人生初のナレーションに挑んでいるのだ。映画ライターが解説する。
「イラン代表の柔道女子選手が、敵対国イスラエルとの対戦を避けるために、棄権を命じられます。これは2019年に日本武道館の世界選手権で実際に起った事件を映画化した、ポリティカルスポーツエンターテインメントです。イスラエルとイラン出身の2人の監督の合作という異色作ですね」
政府に屈服するか、自由と尊厳を求め戦うか、最後までハラハラする展開になるという。
予告編で阿部は「ただ、勝ちたかった」という主人公の女子選手の心情を読み上げている。
「これはパリ五輪の敗退で号泣しながらも雪辱を誓う阿部選手ならでは。説得力のあるキャッチコピーになっています。公開初日には新宿ピカデリーで、彼女を迎えた特別上映会が開かれ、映画だけでなく再スタートへの新たな決意のほども聞けるはずです」(前出・映画ライター)
2028年ロサンゼルス五輪復活Vへとタタミかける、力強いコメントが出ることだろう。