春のGⅠ戦線が、2月23日の東京競馬場でいよいよ開幕する。第1弾にあたるフェブラリーステークス(ダート1600メートル)には16頭がエントリー。9戦して「1着7回、2着2回」と抜群のダート実績を誇るエンペラーワケア(牡5)が人気になりそうなメンバー構成だが、筆者が注目しているのは「前走大惨敗」で一段と人気を落とすガイアフォース(牡6)の「勝負がかり一発」である。
前走のGⅠ・チャンピオンズカップ(中京・ダート1800メートル)で15着と大敗したガイアフォースの敗因は「2つのコースバイアス」に尽きる。
第一に、スタート地点が直線(スタンド前)の坂の途中(登り坂)にあり、スタート直後、馬が前につまずいたり、横によろけたりすると、位置取りが最後方になってしまう。
第二に、最終4コーナーのカーブがきついため、外を回った先行集団以下の馬はコースロスを余儀なくされ、鬼脚を繰り出したとしても、まず届かないのだ。
筆者は本サイトが12月7日に配信した記事でも、次のように指摘した。
〈芝とダートの二刀流で能力的にも抜けていたガイアフォースは、鬼門のスタートでよろけてつまずき、1コーナーの位置取りは後方集団の大外。その後も4コーナーまでインに入れることができず、持ち味を全く生かせぬまま大敗を喫した〉
しかし、初のダート挑戦で注目された昨年のフェブラリーSで2着と激走した東京コースなら、話は全く違ってくる。
栗東坂路で行われた2月19日の最終追い切りでは、4ハロン52秒1ー11秒8と絶好の動きを披露。同馬を管理する杉山晴紀調教師は「いい時のガイアフォースでレースに出られる。勝っても驚けない。十分に勝ち負けになる」と自信を口にして憚らない。
まさに「勝負がかり一発」の穴気配がムンムンなのだ。記念すべきGⅠ開幕の第1戦はズバリ、ガイアフォースの「単複」で乾坤一擲の勝負をかけてみたい。
ちなみに、前述したチャンピオンズCで大外後方集団から唯一、目を見張る鬼脚を繰り出して7着に食い込んだアーテルアストレア(牝6)も、要注意馬の1頭。連勝馬券で勝負する向きには、ガイアフォースとともに、見落とせない伏兵馬だ。
(日高次郎/競馬アナリスト)