今年初のGⅠレース・フェブラリーステークス(東京・ダート1600メートル)が2月23日に東京競馬場で行われるが、最強メンバーが揃わなかった印象が強い。競馬ライターが解説する。
「出走16馬中、GⅠ馬は5頭。とはいえ、そのうち2頭は過去1年未勝利で、近走は振るわない。昨年GⅠを勝った残り3頭のうち、重い印が付くのは連覇を狙うペプチドナイルだけで、有力視されているのはGⅠ未勝利組が多いですからね。馬券的には妙味がありそうですが、レースとしてはイマイチな盛り上がりになるかも」
というのも、2年連続でJRA賞最優秀ダートホースに輝いたレモンポップは引退。他の有力馬は軒並み、2月22日(日本時間23日)にサウジアラビアの首都リヤドのキングアブドゥルアジーズ競馬場で行われる世界最高賞金レース「GⅠサウジカップ」(ダート1800メートル)に回ってしまったのだ。競馬ライターが続ける。
「1着賞金は1000万ドル(約15億7000万円)。フェブラリーSの1着賞金1億2000万円とはゼロがひとつ違う。そりゃ、強い馬はそっちに行ってしまうでしょう。昨年暮れの東京大賞典1着から4着馬が揃ってサウジ遠征していますね」
サウジカップに出走する日本馬の大将格は、4歳馬フォーエバーヤング。昨年の東京大賞典を勝利するなど、GⅠはここまで3勝で、国内レースは全勝。負けたのはアメリカGⅠのケンタッキーダービーとブリーダーズカップ(BC)クラシックの、ともに3着だけという実績だ。
東京大賞典2着のウィルソンテソーロのGⅠ勝ちは、昨年のJBCクラシックのみだが、一昨年12月から昨年にかけてGⅠで2着が5度ある。
東京大賞典3着のラムジェットには昨年の東京ダービー競走1着の実績があり、東京大賞典4着のウシュバテソーロはここまでGⅠを4勝。昨年は未勝利だったがサウジカップとドバイWCでともに2着と走っている。
他国からは1月のアルマクトゥームチャレンジ(GⅠ)を勝ったイギリスのウォークオブスターズ、同じく1月のホセペドロラミレス大賞(GⅠ)を勝った地元サウジのエルコディゴが出てくるが、注目度が高いのは香港のロマンチックウォリアーだ。
「ここまで23戦18勝で、GⅠは10勝。昨年の安田記念を勝っているので、日本のファンにもお馴染みです。日本馬にとって最強のライバルであり、英国ブックメーカーのオッズでは1番人気がフォーエバーヤングで、2番手がロマンチックウォリアー。2強ムードですが、ロマンチックウォリアーは今回がダート初体験ですからね。不安もあるのでは」(前出・競馬ライター)
世界の有力馬では、昨年BCクラシック覇者のシエラレオーネ、1月のペガサスワールドカップを制したホワイトアバリオ、昨年のドバイWC覇者のローレルリバーが次々と回避。日本馬にとっては世界最高賞金レースを勝つチャンスが大きくなっている。
レースは日本でもグリーンチャンネルで生放送される。世界最高峰レースでの日本馬の活躍を目に焼き付けたい。
(石見剣)