フェブラリーSは周知のとおり、年明け最初のGI戦である。ダートでのマイル戦。近年はフルゲート(16頭)必至で、今年もなかなかの顔ぶれだ。
芝のレースとは多少異なり、ダート戦は年齢を重ねても活躍している馬が少なくない。GI戦でもそう大きな変化はないが、それでも新しく台頭してきた新顔も多く、勢力図が今後どう変わっていくのか、楽しみでもある。
ではその顔ぶれを見てみよう。目下3連勝中で前哨戦の東海Sを制して意気上がるオーヴェルニュ、同じく前哨戦の根岸Sを快勝したレッドルゼルが主力とみられているが、一昨年の覇者インティ、ルメール騎手とのコンビが魅力のカフェファラオ、そしてアルクトス、サンライズノヴァ、ワイドファラオ、船橋から参戦するミューチャリーなどが有力視されている。
しかし、伸びしろ十分な馬が多い反面、いずれの馬も決定打を欠き、信頼性に疑問符がつく。さらには伏兵陣も多彩ということで、今年は、まれにみる混戦模様と言っていいのではないか。
まずは過去のデータをひもといてみよう。
03年に馬単が導入されて以降、これまでの18年間、その馬単での万馬券は6回(馬連5回)。この間、1番人気馬は10勝(2着3回)、2番人気馬は2勝(2着4回)。比較的堅く収まる傾向ではあるが、それでも人気薄の馬がよく連絡みを果たしている。
昨年はその典型で、1番人気のモズアスコットが勝ったものの、2着は最低人気のケイティブレイブが突っ込んで馬連(3万6230円)、馬単(4万6980円)ともに万馬券の大波乱で終わっている。
前記したように混戦模様であれば、昨年同様、人気薄の伏兵が有力どころの足をすくう可能性は大いにある。ここは穴党の出番だ。
年齢的には他のGI同様、勢いに乗る4歳馬、充実著しい5歳馬の活躍が目立っているが、6歳馬も5勝(2着2回)と健闘している。狙いはその6歳馬、ソリストサンダーである。
初勝利が6ハロン戦だったように、やや行きたがる面があり、短いところを中心に使われてきたが、なかなか結果が伴わないでいた。しかし年齢を重ね、気性が落ち着いてズブくなってきたことから距離を延ばした。それが功を奏したようで成績もアップ。ここにきて堅実ぶりが目立つようになったのだ。
前々走のGIII武蔵野Sでは11番人気で2着惜敗。この時はサンスポ紙上で本命にしたのでよく覚えているが、その時の私の印象は「まだまだ上を狙える馬だな」というもの。そのとおり、続く前走の門司Sは、相手が弱かったこともあり完勝と言っていい内容だった。
今回は相手が一気に強くなるが、有力どころは、どの馬も何らかの弱点を抱えており、つけいるスキは大いにあっていい。実際、この中間もすこぶる順調で実にいい雰囲気にある。
関係者にしてみれば「このぶんなら‥‥」という思いがあり、GIに挑むことを決めたのだろうが、高柳大調教師も「ここにきての充実ぶりがスゴい。一線級に伍しても頑張って上位争いができていい」と、期待感を高める。
父は米ダートGI勝ち馬で、近親、一族にコマンダーインチーフ(英、愛ダービー)、ウォーニング(クイーンエリザベス2世S、サセックスS)、名種牡馬レインボークエスト(凱旋門賞、コロネーションC)などキラ星のごとく活躍馬がいる名門の出。力を要すダートなら大きく狙ってみたい。