3月1日、7人の新人騎手が一斉にデビューする。それも全員が中山、阪神という主場で初騎乗を迎えるのだ。ではその中から3人をピックアップしてみよう。
まずは和田竜二騎手の息子・和田陽希(17歳、栗東・杉山晴紀厩舎)。阪神で土曜5鞍、日曜に3鞍あるが、なんと土曜1R・3歳未勝利で早くも父親と対決する。父がこれまで【0・0・2・4】のバダジェフスカに騎乗するのに対し、陽希は前走の新馬で18頭立ての15着だったビガーサンライズ。両馬の戦績を見る限り、父が優勢に思えるが、さてどうなるか。
期待できそうなのは、3月1日7R・4歳1勝クラスのワンダーフェローだ。これまで【1・1・0・3】という戦績だが、先行力には光るものがある。ダート替わりで一変があるかもしれない。なお、エージェントは父と同じ桜井眞人氏。西では豊沢信夫氏や小原靖博氏と並ぶ辣腕エージェントだけに、騎乗馬には恵まれそうだ。
2人目は、競馬学校時代に成績優秀者に贈られるアイルランド特別大使賞を受賞した、遠藤汰月(19歳、美浦・伊藤伸一厩舎)だ。ペース判断に優れ、自在な騎乗ができると高い評価を得ている。
中山で土曜3鞍、日曜4鞍。気になるのは土曜8R・4歳以上1勝クラスのキョウエイディーズだ。7カ月ぶりの出走となるが、前走4着となった走りは見どころ十分だった。その時と同じダート1200メートルなら、勝ち負けになっても不思議ではない。前走より2キロ減の53キロで出走できるのも魅力的だ。厩舎の力が弱いのがネックだが、そこは成績を上げて競馬関係者の信頼を勝ち取っていくしかない。
ラストは現役6人目の女性騎手としてデビューする谷原柚希(18歳、美浦・伊藤圭三厩舎)。母の実家が乗馬クラブを経営していたため小学生の頃から馬に乗り、騎手以外の道を考えたことがなかったという。中山で土曜3鞍、日曜1鞍で、楽しみなのが土曜2R・3歳未勝利のスリーローズマリーだ。前走は2番人気に推されながら9着に敗れてしまったが、スタートで立ち遅れてレースにならなかった。あれが実力ではない。「調教はメチャメチャ走る」と言っているように、スピード能力は高い。先手を奪って逃げることができれば、アッと言わせることも十分可能である。
1年目の目標は新人賞を獲ること。美浦は藤田菜七子、大江原比呂が引退したため、騎乗機会には恵まれそうだ。
(兜志郎/競馬ライター)