武豊が絶好調だ。先々週2勝、先週4勝して、リーディングが10位→9位→8位と上昇。今の勢いなら年間100勝も十分可能だろう。
その騎乗は馬の脚質や個性に合わせ、柔軟性に富んでいるのが特徴。9月3日の札幌・すずらん賞ではドナベティ(牝2)で後方一気を決めたが、それを見た矢作芳人調教師は「さすがレジェンド。いい内容で勝ってくれた。あれなら距離が延びても楽しみ」と称賛した。
ドナベティは口向きの悪さに加え、右にもたれる癖もあって乗り難しい馬。それを上手に乗りこなしてくれたのだから、矢作調教師が絶賛するのも当然だ。
結果を出せば自然に騎乗依頼も増えてくる。これまであまり騎乗することがなかったノーザンファーム系のクラブ馬にも乗るようになったのだ。例えば8月12日の札幌・新馬を1番人気で勝利したレアリゼアンレーヴ。キャロットファームの所有馬だが、豊がこのクラブの馬で新馬を勝ったのは2019年秋のレシステンシア以来だった。
ノーザンファーム系クラブの有力馬といえば、まずルメールが騎乗することになっている。しかし、徐々にだが豊にもそういう馬が回ってきているようだ。
そして、個人馬主の中には武豊信者が少なくない。
「豊の強みは、何と言っても有力な個人馬主がついていること。ドウデュースの松島正昭氏がその最たるものだが、『ウマ娘』で知られる藤田晋氏も熱烈な豊ファン。彼らは馬主歴こそ浅いが、血統の良い高額馬を購買しては豊に乗ってもらっている。有り難いことだよね」(トラックマンA氏)
その藤田氏が所有するジャングロが、10日(日)のセントウルステークス(GⅡ、阪神・芝1200㍍)に出走する。春の中山・ニュージーランドトロフィー(GⅡ)で豊が騎乗し、藤田氏に初めて重賞をもたらした馬。スプリント能力が高いので楽しみだ。
(競馬ライター・兜志郎)