サンドウィッチマン、ケンドーコバヤシ、麒麟の川島明なんかが、たとえやツッコミのネタによく使う「キン肉マン」。言わずと知れた、ゆでたまごの人気漫画だ。
「週刊少年ジャンプ」の連載をリアルタイムで読み、コミックの新刊を楽しみにし、毎週日曜の朝10時から放送されていたアニメ版も見て、キン消し(キン肉マンに出てくる超人たちを模ったゴム人形。「消し」と言いながら消しゴムとしての機能はほとんどない)を集めていた私のような世代からすれば、彼らのそんな笑いがドンピシャでハマる。ところがアイドルや若手にはいまいちピンとこない様子で、キョトンとされるか「キン肉マンネタはやめて下さい」とツッコミを入れられるのが関の山だ。
しかし、昨年7月から9月にかけて「キン肉マン 完璧超人始祖編」のシーズン1がTBSの「アガルアニメ」枠で放送され、現在もシーズン2が放送中ということで、少しは最近の若者にも浸透しつつある。
そんなところに、テレビからふと目に飛び込んできたのが、メタボな体型になってしまったキン肉マンと、テリーマンの姿だった。テリーマンに至っては頭髪も禿げ上がっており、「これじゃあ、テリーじゃなくてドリー・ファンク・ジュニアだよ」と思ってしまったほどだ。
実はこれ、日清のカップ麺「カップヌードルPRO」の新CMだった。
キン肉マンが「塩分が気になるぅ」と言うと、テリーマンが「そういえば聞いたことがある!」。原作でも未知の超人やその技などの解説役になりがちなテリーマンが発するお約束のセリフを決めた後に、続けて「『カップヌードルPRO』は低糖質で高たんぱく、さらに塩分25%オフ、なのにおいしさそのまま!」と商品説明するというもの。
その途中途中に「48の殺人技のひとつ『キン肉バスター』を決めるキン肉マン」や「轢かれそうになった子犬を守るために、身を挺して電車を止めるテリーマン(元ネタはもちろん、第21回超人オリンピックの予選競技だった『新幹線アタック』でのあの名場面)」といった小ネタを挟むのだ。
その後も悪魔将軍の後ろ姿が映ったり、30秒バージョンではアトランティスがロビンマスクのマスクよろしく日清のロゴを掲げたりと、ファンならニヤリとしてしまうものばかり。
もっとも、「キン肉マンⅡ世」での54歳のキン肉マンは、自慢の筋肉が落ちて痩せていたし、テリーマンは顔に年相応のしわが刻まれたものの、頭髪も体型もちゃんと維持されてたはずなのに…などと、いい歳こいていまだに細かい「キン肉マン」ウンチクを熱く語ったりすると、若者に「ちょっと何言ってるかよく分からない」って顔をされるのかも…と。中年太りしたキン肉マンとテリーマンを見ながら、反省してしまった。
(堀江南/テレビソムリエ)