大阪府では3月21日に公立高校一般入試の合格者が発表されるが、志願者数は約3万4000人、平均倍率は1.02倍で、どちらも過去最低を記録した。しかも、全日制128校のうち、およそ半数の65校が定員割れする事態となっている。進学塾関係者の話。
「今回、衝撃的だったのは伝統校で倍率が1倍を割ったことでした。少子化の影響で公立、私立問わず、高校入試で定員割れを起こすことは特に珍しいことではありません。しかし地域で進学校として人気の高い『2番手校』の寝屋川、八尾高校などでも1倍を下回った。大阪府の教育委員会が最終出願状況を発表した日には、SNS上で『寝屋川ショック』というワードがトレンド入りするほどでした」
大阪府では国に先行して公立・私立を問わず授業料の無償化が進められ、私立高校への進学を希望する受験生が増えたとみられている。今年、大阪府内の私立高校を受験した専願者数は、約2万人と過去最高だったという。
「寝屋川と八尾の場合、以前、高倍率だったことを受けて定員を増やしたことも少なからず影響していますが、私学無償化によりトップ校に行けるかどうかのボーダー層が『ダメなら私学でいい』と2番手校を受けず、トップレベル校に挑戦するケースが増加したのではないか」(公立高校関係者)
2月に自民、公明両党と日本維新の会の3党が「高校授業料の無償化」制度拡充で合意した際には、「私立まで無償化しなくていい」「公立離れに拍車がかかる」といった反応が多数見られた。今後、全国で無償化が進めば、公立高校2番手の定員割れは、大阪だけの話ではなくなるだろう。
(鈴木十朗)