マリナーズ傘下3Aタコマ・レイニーズに所属する藤浪晋太郎が4月5日、ダイヤモンドバックス傘下の3Aリノ・エーシズ戦に3番手として登板。11球を投げてストライク8球と「らしからぬ投球」で2奪三振。しかも今季初の無四死球、無失点で、相手打線に付け入る隙を与えなかった。だがこの投球内容も、メジャー昇格の強烈アピールにはならないという。メジャーリーグを取材するスポーツライターは、
「ひとまず、首がつながった状態でしょう。なにしろ首脳陣の信頼を勝ち取る場面での起用ではないですから。抑えて当たり前です」
今季の起用法は微妙だ。初登板となった3月30日のレンジャーズ傘下3Aラウンドロック・エクスプレス戦こそ1-1の緊迫した場面に3番手として登板したが、1回を投げて1失点。それ以降、ここ2試合は大差がついた場面でマウンドに送り込まれている。つまりは敗戦処理として扱われているのだ。前出のスポーツライターはこう話す。
「登板2試合目となった4月1日のリノ・エーシズ戦では、0-6となった6回からの起用でした。1回を投げて無安打無失点とはいえ、2四死球ですからね。今回の試合も1-6で迎えた7回に、3番手として送り込まれています。およそ緊迫した場面ではありません。ここで打ち込まれたり、いつものように四死球を連発、暴投などの一人相撲では、先がなかったかもしれません」
スポーツ紙メジャー担当記者からは、こんな指摘が。
「好投はしましたが、不安要素がありますね。藤浪は160キロに迫るストレートが武器。それがあるからこそ、まだ期待を抱かせる投手です。それが今回は152キロでした。コントロールを重視して全力投球を控えたのでしょうが、150キロそこそこのストレートでは、球を置きにいっているとしか思えない。そんなボールが通用するほど、メジャーは甘くないですよ」
敗戦処理でもコツコツと無四死球、無失点を続ければ、いつかチャンスがめぐってくるかもしれない。残された時間はそう長くはない気がするが…。
(阿部勝彦)