衆院議員の「資産公開」を受けて、公明党内には気まずい雰囲気が広がっている。
というのも、各党の党首級を比較した中で、2億2044万円と記載した公明党の斉藤鉄夫代表が、自民党総裁の石破茂総理らを押しのけて、トップとなったからだ。しかも2位の日本維新の会・前原誠司共同代表の3818万円に大差をつけてのダントツ。「庶民の側に立つ大衆政党」である公明党の代表が、政界有数の資産家だったことが浮き彫りになった。
その内訳を見ると、斉藤氏は金銭信託などの金融資産が1億9046万円分。土地・建物(固定資産税課税標準額)は、地元の広島市や出身地の島根県邑南町などに2998万円分、保有している。さらには株式だ。かつて勤務した清水建設を含む22銘柄2万4625株を持っていた。
斉藤氏は国交相時代の2021年11月、過去に提出した資産等補充報告書の訂正を、衆院事務局に届け出たことがある。有価証券の金銭信託1億379万1541円や株式5銘柄3200株などの記載漏れがあった。斉藤氏はこの時の記者会見で「姉からの遺産相続が驚くほど多額で、全貌を理解できなかった。大変申し訳ない」と陳謝している。
公明党ではアメリカ金融大手ゴールドマン・サックス出身の岡本三成政調会長も、資産家として知られている。公明党は「年収数億円を捨てて国会議員になった男」として岡本氏をPRしてきた。
公明党の創立者である故・池田大作創価学会名誉会長は昭和37年(1962年)、公明党の前身である公明政治連盟の設立にあたり、「大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいく」を打ち出した。この言葉は立党精神として受け継がれてきた。もちろん、資産家であることが悪いとは言わないが、斉藤氏や岡本氏はかつての公明党の姿とはずいぶん乖離があるようだ。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)