元横綱・白鵬の宮城野親方が、5月場所をもって相撲協会を退職する意向を固めたと報じられたが、宮城野親方は協会を離れる気持ちはないとして、報道を否定した。と同時に「1年経ったのに、という思いはある」と、本音を吐露している。もちろん、宮城野部屋の元幕内力士・北青鵬の暴力沙汰に端を発した部屋閉鎖、伊勢ケ浜部屋への移籍を指してのものだ。
3月27日の理事会では、宮城野部屋の再興については議題にも上らなかった。部屋の復活は遠のいたわけで、1年程度で再興できると考えていた宮城野親方は失望。というのも、このまま伊勢ケ浜部屋に部屋付き親方として所属し続けるのは、宮城野親方にとっては耐えられない現実が待っているからだ。
それが1月場所で引退し、伊勢ケ浜部屋付き親方となった元横綱・照ノ富士の存在である。伊勢ケ浜親方は今年7月に定年を迎える。協会の再雇用制度によって協会には残るかもしれないが、師匠の座は明け渡さなければならない。
例えば、こんなシナリオがある。現役の四股名のままである照ノ富士親方が、将来的に伊勢ケ浜の年寄株を取得して部屋を継承し、伊勢ケ浜親方は弟子の宝富士が取得している年寄株・桐山を取得して部屋付き親方に。宮城野親方はこのタイミングで独立できなければ、後輩横綱の下で親方を続けることになる。現役時代から様々な因縁のある後輩を「師匠」と呼ばなければならない立場になるのは、大横綱のプライド的にキツイものがあろう。
「週刊新潮」によると、宮城野親方には協会退職後に世界的な相撲組織を立ち上げる構想があり、世界中の格闘家などに声をかけているというが…。
(石見剣)