開幕から「15試合連続で犠打なし」というプロ野球新記録(2リーグ制以降)を打ち立てるとともに、その采配がことごとく的中しているのは、日本ハムの新庄剛志監督である。
例えば4月19日のオリックス戦では8回、代打の万波中正が決勝3ラン。翌日も9回、スタメンから外して休養を与えていたレイエスを代打起用すれば適時打を放ち、貴重な追加点で連勝した。
「めっちゃ代打、当たってる。日頃の行いがいいから当たるだろうなって。怖いぐらい」
自画自賛の新庄監督は、ご満悦の様子である。
2022年の監督就任以降、2年連続で最下位に沈んだが、昨年は2位に大躍進。采配が的中する理由のひとつには、コーチ陣との良好な関係があった。
「最下位だった2年間、新庄監督はほとんど独自の感覚だけで采配していました。その傾向が昨年からは薄れ始め、打順や選手交代などはコーチ主導で行っているといいます。今年のスタッフは、投手コーチ以外(建山義紀⇒武田久)は昨年とほぼ同じ。もちろん最終的な判断は監督がしますが、周囲が物を言いやすい環境作りが、ズバリな采配につながっているんでしょう」(球団OB)
もちろん、選手たちとの信頼関係も盤石で、
「コロナ禍が明けた今も試合中にマスクを着用しているのは、本人が言うように整形の影響もあるようですが、選手に対して試合中にダメ出しをしない、という心構えの表れでもあるんです。選手へのリクエストや激励の際には文面に気を使いつつ、SNSのDMを活用している。若い選手には特に、その方法が合っているようです」(スポーツ紙記者)
チーム全体で後押しする「新庄劇場」は、今年も健在。一見、勘が冴え渡っているだけのようだが、確かに日頃の行いの良さが影響しているのかも。
(小田龍司)