プロ野球のペナントレースはまだ100試合以上、残っている。なのに、本当に大丈夫か。セ・リーグの首位は阪神、パ・リーグはオリックス。ともに関西のチームがリーグを牽引している。だがその状況を改めて見ていると、「息切れ」してしまうのではないかと思える実態が判明したのだ。
阪神は25試合を消化した4月29日時点で、10試合以上に登板しているリリーフ投手が4人もいる。26試合を終えたオリックスも、5人のリリーバーが10試合以上の登板を記録していた。
両チームとも好調なので「勝ちパターン」で起用される投手が忙しくなっていると解釈できる。
近年は「3連投まで」とリリーフ投手の起用法に制限を課し、休ませながら使うのが当たり前になってきた。ところが阪神・藤川球児監督のこれまでのコメントや語録を見る限り、数字的な制限は設けていない。
特定のリリーバーに頼っているようではあるが、4月26日の巨人戦ではクローザーの岩崎優を出場登録から外している。体調を見極めながら、臨機応変にやっているのだろう。なお、岩崎をベンチから外した26日は快勝したが、翌27日はその岩崎が救援に失敗し、敗戦投手となった。
特定のリリーバーに登板が集中すれば、相手チームは研究してくる。これは「登板過多」以上に懸念される点だ。 その意味では4月29日の広島戦で544日ぶりの1軍登板を果たした湯浅京己の復帰は、大きなプラスだ。湯浅はファームで9試合に登板して防御率2.00。打者40人との対戦で9奪三振をマークしている。何が言いたいのかといえば、「調整」ではなく「結果」を残して1軍昇格したのである。
「当面は湯浅にセットアッパーを任せ、岩崎に繋ぐ継投になると思われます」(在阪スポーツ紙記者)
今後は岩崎に代わって9回を任される試合が出てくるかもしれない。セットアッパーであっても、ここまで11試合に登板している石井大智、13試合の及川雅貴、11試合の桐敷拓馬の負担軽減になるのは必至。「臨機応変」の藤川監督に継投策の選択肢が増えたのは、朗報でしかない。
(飯山満/スポーツライター)