昨オフも補強で失敗を繰り返した阪神にとって、今季、最もライバル視しているのはオリックスだ。
在阪のスポーツメディア関係者が言う。
「交渉する前からロッテの成瀬善久(29)には逃げられた。日本ハムの宮西尚生(29)も迷ったあげく残留を選択されてしまった。今季は中継ぎが手薄で、宮西に関してはベンチから『あいつ、おったらな‥‥』との声が聞こえます。目玉の補強だった中島裕之(32)については、昨シーズン途中に日本復帰の意思を確認した段階でいち早く接触に成功したのが阪神でした。ところが、4年総額15億円という大型契約でオリックスに横取りされてしまった。負け惜しみにしか聞こえませんが、一部の阪神フロントは『予想どおりケガしよったな』と漏らしています」
補強のままならなかった阪神は、オリックスからFA宣言をした金子千尋(31)獲得に望みを託したのだが、日米を股にかけてあれだけ騒動になりながら、結局、残留したのは周知のとおりである。
「実は、阪神には金子入団の脈があったと言われているんです。というのも、本音がどこにあるかもわからず、交渉は進みませんでしたが、阪神は昨年、都内で中村勝広GM(65)らが金子の代理人と直接会って話しています。具体的な話も出ていたから、残留表明には“肩透かし”を食らった形。球団創設80周年記念イヤーの補強戦略をことごとく潰され、オリックスに対する怨念は高まる一方でした。オープン戦の時から、首脳陣が『オリックスだけは潰す』と、いきまいていました。金子が戦線復帰した今、その思いは、さらに増しているでしょう」(在阪スポーツメディア関係者)
一方、阪神に妬まれながらもオフに大補強を成功させたかに見えたオリックスだが、最下位で交流戦に突入する体たらくである。オリックスに選手を提供したセ球団からは、笑い声も聞こえてくる。
「5月18日に右股関節痛で今季すでに2度目の抹消をされたブランコ(34)ですが、昨オフに放出したDeNAの高田繁GM(69)は『どうぞ、どうぞ』というスタンスだった。DeNAの球団関係者は『機動力野球がうまくいっているのに変な補強だよな』と、はなから補強戦略をいぶかしげに見ていました」(スポーツライター)
バリントン(34)を手放した広島も、ほくそ笑んでいるようだ。毎年10勝前後の勝ち星を計算できた投手だが、チームの和を乱してもいたという。
「中6日では調子が悪いため、広島では『中5日にしてくれ』と文句をつけていた。実際、要望を受け入れた結果、そのあおりを受けて登板間隔に狂いが生じたり、ローテを飛ばされる投手が出て、前後を投げるピッチャーの調子を落とさせていたんです。広島はバリントンがいなくなって新外国人・ジョンソン(30)が大活躍。一方、主に中6日で登板しているバリントンは案の定、2勝3敗、防御率4.17(5月22日現在)というありさまですからね」(スポーツ紙デスク)
ちなみに広島の緒方孝市監督(46)は交流戦に関して、「パの下位チームから確実に勝つ」と展望を語っているというが、シーズン前にはともに優勝候補と予想されていたオリックスと、下位同士で交流戦を迎えるとは思いもしなかっただろう。