かつて同じモンゴル人横綱でも朝青龍と対照的に品行方正で「力士のカガミ」とまで言われた横綱白鵬(30)。その品格が「劣化」著しい。今度は幕内力士を力士会で口汚く罵ったかと思えば、自分にひれ伏すように“洗脳”まで始めているというのだ。
問題の力士会が大阪・ボディメーカーコロシアムの会議室で開かれたのは、春場所前の去る2月24日。進行役の力士が、そろそろ閉会であることを告げた頃、力士会長である白鵬が突然、発言した。本場所の土俵で行司から待ったなしが告げられると、いずれも「ホッ!」と気合い声を発する、東西の前頭12枚目琴勇輝(23)と千代鳳(22)に、
「オイ、お前ら、せき払いやめろ、犬じゃねえんだから、ほえるのはやめろ!」
と言い放ったというのだ。
ここまでのやり取りは、直後に一部スポーツ紙でも報じられた。が、ある相撲関係者によれば、続けて、
「バカ野郎!この野郎!」
と、かつての「力士のカガミ」が、吐き捨てるような口調で2人を面罵したというのだ。
場内が静まり返る中、「わかったな」と白鵬から念押しされると、両力士は「ハイ」と答えるのがやっとだったという。
この相撲関係者が言う。
「恐らく、スポーツ紙はあまりに品位に欠けるこの罵声に白鵬の今後も考え、手心を加えたのかもしれませんが、確かに言っていましたよ。白鵬は稽古でもよく『バカ野郎』を言うんですが、各部屋の力士が集まった公の場ではまずいでしょう。面罵された両力士は報道陣には、『受けを狙ってやってるわけじゃない』と琴勇輝が語ったのみですが、周囲には『イチローが打席に入る前、バットを回すのと同じ』『困った。従わないと巡業先で“かわいがられる”かもしれない』などとコボしてましたね」
月刊誌「大相撲」元編集長で相撲評論家の三宅充氏は「両力士の気合い声はやめたほうがいい。お客さんだってびっくりする」という意見だが、大相撲に詳しい漫画家のやくみつる氏は、こう苦言を呈する
「気合い声の是非はともかく、白鵬も待ったなしになるとせわしない動きを見せ、土俵外に出て負けた対戦相手にダメ押ししたり、懸賞金を片手で取り差し上げる。みんな見苦しいですよ。それを棚に上げて琴勇輝と千代鳳の行為を責めるなんて、どうかしています」
今年の初場所6日目に対遠藤戦では観衆の遠藤コールに色をなし反発。立ち合いからこめかみに張り差しし、グラつきながら食らいつく遠藤に右肘でエルボーバット。勝ち名乗りを受け、懸賞金を受け取ると、どうだと言わんばかりに高々とそれを掲げていた。
「地金が出てきたといいますか、白鵬にとって朝青龍は反面教師だったはずですが、どうも最近の白鵬を見ていると、ベクトルは一緒じゃないかと思えてきます。初場所の遠藤戦はその最たるものです」(やく氏)
実際、今回の力士会での白鵬の発言を伝え聞いた相撲協会審判部長の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)も、
「気合い声を注意するのは審判部の仕事。いつから白鵬は審判部になったんだ」
と不快感をあらわにしたという。