貴乃花親方との対立姿勢を強めている白鵬はどうか。騒乱の九州場所で40回目の優勝を飾った実績は貫禄十分だが、影野氏は先の九州場所11日目の前代未聞の「物言い騒動」に着目してこう話す。
「白鵬ほど勝敗‥‥いや、シノギにこだわる横綱を見たことがありません。騒動の影響か、懸賞金も少なく、相手が格下の嘉風にもかかわらず、あの土俵外での“粘り腰”。シマウチをいいことに、今にも潰れそうな小さなスナックからもミカジメを徴収するような金への執着心に脱帽すると同時に、『横綱の品格』を模範に、社会復帰を目指す受刑者たちになんという姿をさらしてくれるんだと強い憤りを覚えました」
白鵬はプロレス技のエルボーにも似た「カチ上げ」もたびたび問題視されている。実際、昨年5月場所ではこの技を食らった大関・豪栄道(31)が顔面骨折の重傷を負った。相撲通の現役組員によれば、
「白鵬が勝ちにこだわってカチ上げを繰り出していると解説する識者がいるけど、それは違う。もしもかわされて、重心が浮いた状態でガラ空きの脇を差されたら、白鵬といえども一気に土俵際へと追い込まれてしまう。つまり、あのカチ上げは相手を潰しにかかってるわけよ」
相撲界で“武闘派”の名をとどろかせる白鵬が、九州場所千秋楽で披露した「万歳三唱」については、二次団体組員がこう反応する。
「あれはヤクザの世界でいう“三本締め”やね。手打ち式では定番で、宴会の締めでもよくやる儀式や。酒の席でちょっとしたイザコザがあっても、丸く収まってしまうのが三本締めの持つ不思議な力。白鵬も『ハイ、一連の騒動は終わりですよ。これで手打ちにしましたよ』と土俵でアピールしたかったんやろ。カタギの客を巻き込むのはどうかと思うけどな(苦笑)」
一連の報道で、日に日に表面化していく貴乃花親方と白鵬との遺恨。やはり両者は相いれない存在なのだろうか。
「相撲道を突き詰めてきた貴乃花親方を極道史の傑物に例えると、三代目会津小鉄会の図越利一会長やね。地元の京都では一本独鈷で組を盛り立て、カタギに迷惑をかけないことを信条にして用心棒代さえ受け取らず、町では名士で通っていた。そして、ハタから見れば厳しい面がありながら、誰よりも若い衆を大事にしていたそうや。日馬富士を引退に追い込んで落とし前はつけたが、(菅原)文太さん風に言えば『白鵬さん、弾はまだ残っとるがよう‥‥』みたいな心境やないですか」(前出・二次団体組員)
そんな緊迫をよそに、元横綱・朝青龍(37)がツイッター上で「嘘つけ!」「彼一体何に物!?」(原文ママ)とつぶやいたことで、旭鷲山(44)との“代理戦争”にも注目が集まったが、
「引退してカタギになっているにもかかわらず、うまい話をかぎつけるとしゃしゃり出てくる元幹部がいますが、この2人にはまったく同じ匂いを感じますね。この手のヤカラはひっかき回すだけひっかき回して、立場が悪くなると『カタギをそんなにイジメないでくれよぉ』と芋を引くのでタチが悪い」(四次団体組長)
来年の初場所では、現役力士たちが今回の「場外抗争」以上に白熱した取組を見せてくれるに違いない。