●ゲスト:光浦靖子(みつうら・やすこ) 1971年生まれ、愛知県出身。幼なじみであった大久保佳代子と、大学時代にお笑いコンビ「オアシズ」を結成し、デビュー。メガネ毒舌キャラとして一躍人気を博し、バラエティ番組に多数レギュラー出演。手芸はプロ級の腕前で、「ブッス!! 手芸部」という手芸集団の部長としても活躍。近著に人生相談エッセイ「お前より私のほうが繊細だぞ!」(幻冬舎文庫)。
毒づいた物言いと態度で強烈なインパクトを放ち、元祖メガネ女子(!?)として、バラエティ番組に欠かせない存在となった光浦靖子。今ではその多才さも知られ、「ブス」「非モテ」のイメージに収まらない変化を匂わせている。大久保佳代子との関係からある計画まで、天才テリーは容赦なくツッコミを入れて‥‥?
テリー 光浦は、お笑いの世界で何年やってるの?
光浦 21~22年ですね。ずっとノープランで流されてここまで来たので、自分でもすごいと思います。
テリー とはいえ、みんなに支持されているから、そんなに長く続けていられるわけでしょう。
光浦 うーん。「身の程を知ってる」というところだけじゃないですか。
テリー でも、光浦の登場は世の中の価値観を変えたよね。
光浦 え?
テリー 今はアイドルでも、自分の失敗談や貧乏話を平気で話すじゃない。
光浦 確かに。
テリー あれは光浦の影響を受けている部分もあるんじゃない? 自分の人間としての弱点をおもしろおかしく話せることが、今の女の子の文化になっているというか。
光浦 それは確かに、ある種のカルチャーになったのかもしれないですね。私はテレビに出てすぐの頃、失敗ばかりしていて、ディレクターに「つまんねえから帰れ!」といつも怒られていて。
テリー 若手時代ね。
光浦 ところがある日、「自分にとってものすごく普通」の話をしたんですね。そこで初めてディレクターに「おもしろい!」と評価されて。
テリー どんな内容?
光浦 ただの日常話です。大学時代に飲み会で自分が経験してきた「ブス差別」をフツーにみんなの前で話しただけなんです。
テリー 「男が自分にだけ話しかけてこない」とか、そういうこと?
光浦 そうそう。「私は新歓コンパでもまかれる」っていう話をしたら、みんながゲラゲラ笑って。
テリー 「まかれた」?
光浦 新歓コンパの二次会に行く時に、その輪に交ぜてもらえなかったんです。当時、私は歓迎される側の新入生だったのに。
テリー ハハハ。
光浦 「あれ、いつの間にかみんながいない。東京って人が多いから、まいっちゃうな~」なんて思っていたわけですよ。
テリー それが実は仕組まれていたと。いつ頃気がついたの?
光浦 3日後くらいに。よくよく考えたら「アアッ」と。「流れが作為的だった!」と思って。あらためてその場に残っていた人を思い出すと、パッとしないルックスの子ばかりだったなと。
テリー かわいい子だけが二次会に呼ばれていた?
光浦 そう。それにハタと気づいた瞬間、「わあ、東京って怖い!」と思いました。
テリー ハハハ。他には?
光浦 カラオケでは、私の席の両側には必ず荷物が置かれるとか。そういうことがどんどん積み重なって、ある時、ディレクターに「光浦は、きれいな女をどう思う?」って聞かれて「滅びればいいと思う」って返したんですよ。
テリー 素直な感情を。
光浦 それが非常にウケて、「そういうのを1回テレビで言いなよ」と。それで自分のみにこれまで起こったことを話したら、みんなが笑うんです。
テリー じゃあ「この芸風は使える」と思った?
光浦 いやそれは思わなかったです。でも、ただ事実を話すと周りが笑ってくれるんですよね。