こっちにするか、あっちにするか──。健康に関することはもちろん、居酒屋のメニューを選ぶ時も、人は常にさまざまな2択を突きつけられている。多くの場合、何気なく答えを出してしまうが、実はそのチョイスが長生きするか否かの分かれ目になっているとしたら‥‥。そんな気になる2択を厳選、お助けドクターにズバリ回答してもらった!
「多くの人が健康神話を勘違いしている」
誤った健康情報が常識化していることを嘆くのは、東京・品川区の戸越銀座で秋津医院を開業している秋津壽男医師だ。著書「長生きするのはどっち?」(あさ出版)は8万部の大ヒットを飛ばしている“何でも解決! スーパードクター”は、テレビでも活躍中だ。
「テレビなどでは、健康情報は、『正しいけれども平凡なもの』より、『〇〇だけで痩せた』など極端な情報ばかり発信されます。『食べすぎはダメ、飲みすぎはダメ』なんて当たり前の本は誰も振り向いてくれない。偏った情報をうのみにするのではなく、情報を取捨することが大切です」
何より健康で長生きすることを念頭に置き、凝り固まった健康常識を排し、頭をスッキリ整理しよう。
まずは、食は医なり、というわけで食事編から。
今夜の食事はどこへ行く?
【1】「焼き肉」か「天ぷら」か?
「焼き肉はタレの魔力か、必ず食べすぎになる。最初に量を決めればいいが、食べ放題はなおいけない。バイキングは元を取ろうとして理性がなくなり、端から皿に盛って食べすぎになる。あとで痩せるために、かえってお金がかかります」
過ぎたるは及ばざるがごとし。ここは、好きなだけ食べてしまいがちな焼き肉ではなく、天ぷらの勝ち!
酒は百薬の長、ともいうが、
【2】「ビールロング缶1本」か「日本酒2合」か?
「毎晩ロング缶1本は健康にいい。酒を飲む人は飲まない人に比べ、循環器病による死亡率、全死亡率も少ないんです。心筋梗塞や狭心症などの虚血性心臓病、脳梗塞などの脳血管障害の予防効果がある」
と、いい話はここまで。それ以上飲み続けて、適量を超えれば、薬も毒となってしまう。日本酒の適量は1合まで。
続いて、酒の種類は
【3】「ワイン」か「ウイスキー」か?
「カロリー、糖質のことを考えれば蒸留酒のウイスキーや焼酎になるが、アルコールが喉の粘膜、胃の粘膜を痛めやすい。また、氷を入れて飲むと胃腸をドンドン冷やしてしまう。体重のことを気にしていないのなら、やっぱりワインか日本酒の醸造酒です」
朝ドラ「マッサン」も終了したところで、ワイン党へ転向しちゃう!?
その酒の席でのおつまみは
【4】「ナッツ」か「チーズ」か?
が迷いどころ。
「チーズは酒で足りないビタミン、ナッツにもビタミンEを補う効果がありますが、問題は塩分。殻付きの南京豆ならいいですが、市販の塩付きのものは袋をシャカシャカして塩分を落としておつまみにするのがいい。ちなみに、ナッツ適量は飛行機で出る小袋程度です」
ナッツはカウンターバーで出される小皿だけでガマンしよう。
飲みのあと、誰もがついつい立ち止まるのがあの店の前。
シメは
【5】「ラーメン」か「牛丼」か?
「ラーメンにもみそ、とんこつ、しょうゆなどあるが、塩分量を考えれば、アミノ酸で薄味になっているしょうゆがお勧めです」
と、塩分の多いみそ、脂分の多いとんこつは脱落となった。とはいえ、実はスープは大差なしだという。
「酒を飲んだあとでラーメン屋に行きたくなるのは、満腹中枢が麻痺しているから。しかも、酔って味覚が衰えている時には、ふだんよりガツンと濃い味を求めてしまう。そもそもシメという言葉がラーメンに失礼です。ラーメンを一食のごはんと考えるのなら問題ないが、もちろん牛丼も同じです」
ガックリ。どちらも寿命を縮める行為だとか。