史上最多のメジャー挑戦者が出ることになった今年のプロ野球界。だがそのヤル気に反して、受け入れる側は歓迎ムードどころか、軒並み「来たいならどうぞ」と屈辱の低評価だ。「先駆者」たちも同様に、メジャー生き残りをかけた崖っぷちの攻防を展開。まさに日本人選手の評価はガタ落ち、大暴落中なのである。
日本人市場はショック状態
メジャーリーグでは今、日本人選手の評価が急落している。とりわけ、野手に対する信用は目を覆わんばかりの暴落ぶりだ。まずその理由を、メジャーリーグ研究家の友成那智氏が解説する。
「イチロー(38)がポスティングでメジャー入りした当初、入札額は約1300万ドル(当時のレートで約14億円、以下同)。日本人選手の評価は高く、『イチローバブル』的な状態でした。しかし、その次の松井稼頭央(36)がひどかった」
メッツと3年総額2100万ドル(約22億7000万円)で契約したものの、松井稼は遊撃手として失格のレッテルを貼られたのだ。友成氏が続ける。
「メジャーのFA、移籍市場は、株式投機的に評価が上下します。松井稼で下がったところに、井口資仁(37)、福留孝介(34)、岩村明憲(32)の連続不発で、さらに下落。加えて、イチローと松井秀喜(37)に、年齢による衰えが指摘され始めた。そこに、決定打として西岡剛(27)の大失敗です。日本人選手の悪材料がそろいすぎました。だから日本人マーケットはショック状態に陥ったんです」
そのアオリを受けた典型が、ポスティングでヤンキースが独占交渉権を得たものの、まさかの「破談」となった中島裕之(29)だ。メジャー関係者が言う。
「そもそも中島の評価は相当に低かった。あるメジャースカウトは、『(日本時代の)西岡のほうが(同じ遊撃手として)守りはうまいし、肩もスピードも上。打率も西岡がよりいい数字を残している。中島の強みは右方向に強く打てるぐらいだろう』と話していたほど。『あの(昨季大不振だった)西岡より下なのか』となり、西岡の入札額より絶対に安いと、ポスティング前から言われていましたね」
西岡のメジャー1年目は打率2割2分6厘、0本塁打、19打点。米スポーツサイト「CBCスポーツ」が認定した、ア・リーグの「最低殊勲選手」にノミネートされる期待外れぶりだった。
「守備中の左足腓骨骨折で一時戦線離脱という不運があったものの、あれは西岡の技術不足。併殺を取る場合、走者がどうスライディングしてくるかを予測し、いろんな方向に飛ぶもの。なのに西岡は突っ立っていて、そこに走者の足が入って折れた。それならと、日本で200安打した打力に期待したのに、メジャー投手にまったく対応できなかった。それ以前にも、日本最高のショートストップと称された松井稼がダメだったこともあり、『日本人内野手は守れない』というレッテルを貼られたんです」(米在住ジャーナリスト)
その西岡へのツインズの入札額、約530万ドル(約4億4800万円)に対し、中島には半額以下の250万ドル(約1億9000万円)しか投じられなかった。しかもヤンキースGMは落札時点から「内野の控え」を明言し、年俸オファーも100万ドル(約7800万円)だったという。西武での年俸2億8000万円とは大きな落差である。
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