社会

噴火警戒レベルが発令された「箱根・大涌谷付近」を緊急レポート(2)周辺市民には不安が広がり…

20150521v

 実は、筆者は幼少期を箱根で過ごしたということもあり、3カ月余り前、箱根在住の古い知人からこんな連絡を受けていた。

「おい、上湯のあたりがすごいことになってるぞ!」

 すぐに現場に急行した筆者は、その時にも前述した光景を目撃している。ただし、今回、再確認した印象では、一連の火山による地震活動の影響からか、噴気のエリアがいささか拡大しているように思えた。とにかく、あたり一面が地獄谷のような様相だったのだ。

 もっとも、上湯地区の噴気は今に始まったことではない。もともと、箱根には大涌谷、早雲地獄、湯の花沢など、常に噴気の立ち上るエリアが存在している。そんな中、01年の活発な火山による地震活動の後に突如、新たな「地熱地帯」として出現したのが、この上湯地区の一角だったのである。前出の知人が明かす。

「ただ、出現当初はさほどの規模ではなかった。ところが11年の東日本大震災以降、噴気のエリアが木々を枯らしながら東から西へと徐々に移動し、その規模もジワジワと拡大してきている。そこへもってきての今回の火山性地震騒動。地元の人間は、大きな不安を口にしています」

 実際、この新地熱地帯の直下1キロメートル圏内には、下湯温泉の代名詞となっている有名旅館のほか、平日でも観光客の絶えないポーラ美術館もある。さらに、上湯から1キロメートル余り離れた早雲地獄でも噴気に異変が見られるとの指摘もあるのだ。

 早雲地獄の直下に旅館街や別荘街などが広がる強羅温泉の関係者もこう語る。

「早雲地獄を含む地熱地帯の噴気が特に勢いを増してきたのは、今年に入ってからのこと。時に空高く立ち上る噴気は、遠く小田原市や南足柄市でも確認されていると聞いています」

 実は、筆者も大磯と小田原を結ぶ有料道路・西湘バイパスを通行中、箱根山のものと思われる噴気を目撃したことがある。筆者の第二の故郷ともいうべき箱根は大丈夫なのか──。

 中でも気になる上湯地区の異変について、小田原市入生田にある神奈川県温泉地学研究所の竹中潤研究課長は次のように解説する。

「上湯の地熱地帯は、群発地震を起こす地下のエネルギーが作用して噴気を作り出しているもの。まさに生きている火山の証拠といっていい場所です。一帯の地面は熱く、深さ30センチで90度くらいの温度があり、立ち入るのは危険。我々もこの場所には注目しており、今後、活発化するようであれば、危険度は高まるでしょう。今の噴気が強まったり、さらに別の場所から噴気が出てきたりという現象が観測されれば、もう一段の警戒をしなければいけないと考えています」

 世界的にも有名な観光地として発展を遂げてきた箱根。上湯「新地熱地帯」の水蒸気爆発や噴火の可能性は不明だというが、大涌谷を含め、箱根山が1日も早く平穏な日々を取り戻すことを切に望みたい。

◆ジャーナリスト 森省歩

カテゴリー: 社会   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
大谷翔平「MVP受賞映像」で「真美子夫人の妊娠説」が噴出したワケ
2
大谷翔平「3度目のメジャーMVP」でもかなわない「凱旋帰国」の高すぎるハードルと「出禁」問題
3
なんだこりゃ!岡田将生の電撃結婚を「完全スルー」した「めざましテレビ」の担当は元カノ鈴木唯アナ
4
東京ドームで観客半分の「プレミア12」にサッカーファンが「シラケる」挑発バトル
5
マイルCS大的中の馬券師が断言!ジャパンカップ「勝つのはドウデュース以外の日本馬」「買える外国馬は1頭だけ」