政治

橋下徹市長「あいりん特区」構想の勝算(2)生活保護の増大が財政を圧迫

 西成区あいりん地区――。日雇い労働者の街として知られ、3万人もの労働者が生活しているとされている。
 現在、西成区の人口は約12万人。そのうちの実に、4人に1人がわずか半径300メートルの土地に、ひしめいているのだ。しかも西成区は、大阪市内でも生活保護の受給者が2万8442人と最も多く、その割合は23・5%に上るという。あいりん地区に至っては、3人に1人が受給者と推定されている。
 一方、居住者の高齢化も深刻だ。人口に占める65歳以上の人の割合は34・5%。高齢化による生活保護の増大で、財政危機が叫ばれる大阪市の中でも、厳しい事態に直面しているのだ。
 では、あいりん地区の現状はどうなっているのか。この地区の簡易宿泊所に15年間勤める男性が解説する。
「あいりん地区には、簡易宿泊所が十数軒、全部で3000室ほどある。一泊1000円くらいで泊まれるから、家族を失って住まいもない人がいっぱいいてます。刑務所を出て、すぐに西成に来る人も多い。『西成に行ったら何とかなる』と思っているんです。70代、80代の人まで仕事を求めて来てますしね。それと、ここにはシャブの売人がいるし、それを求めて来る人がかなりいます。最近は減りましたが‥‥。地元の人はおとなしいけど、そういう人の中には暴れたりもする者も。路上でうんちをしたり、飛び降り自殺が月に2回もあったり、夜中に殴られたり、強盗にあったり。そういう話をしょっちゅう聞きます」
 橋下市長が「あいりん特区」を打ち出したとしても、現実的には、治安や風紀の問題が改善しなければ、なかなか「子育て世代」のファミリー層が転入してくるにはハードルが高いと言えそうだ。
 前出の男性が続ける。
「僕は大阪の郊外に住んでます。妻と子供が2人(4歳と7歳)、西成で仕事をして15年。この街を愛してますが、子供を連れて引っ越して来ようとは思いません。子供をうかつに外に遊びにも出せないし、現状ではあいりん地区には子供と一緒に住める住居も少ない。橋下市長はそこをどないしはるんかな、と思ってます。警察官を増やして、取締りをして、そういう治安の悪い環境をまず整備しないと。まあ、引っ越し用の住宅までついてるんやったら、別でしょうけど」
 かつては、たびたび暴動なども起こったあいりん地区だが、最近ではそうした事態も沈静化しつつある。税金の免除のみならず、環境整備も今後の大きな課題と言えよう。
 あいりん地区で商売をしている女性は、橋下市長の発言に期待を込める。
「西成をよくしようって言った市長は初めてやし、そこは凄く評価してます。どこまでできるか、とにかくやってほしい。でも、地元で住んでる人は税金払ってて、引っ越してきた人はタダやったら、やっぱり地元の人の反発があるやろね」

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